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2015年03月28日07:05

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新しいギニア

 ニューギニアって、元はアフリカなんです?

【ただいま読書中】『クジラとアメリカ ──アメリカ捕鯨全史』エリック・ジェイ・ドリン 著、 北條正司・松吉明子・櫻井敬人 訳、 原書房、2014年、5000円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4562050969/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4562050969&link_code=as3&tag=m0kada-22
 古代ギリシア・ローマ・フェニキアでクジラ肉は食べられていました。捕鯨をしたことがきちんと知られているのは、7〜8世紀のバスク人です。彼らの獲物はセミクジラ。当時カトリックの聖日は年間166日もありその日には「赤身の肉」は禁じられていました。「熱い(熱情の)」肉は聖日に禁じられている性愛につながる、と信じられていたからです。しかし水中のものは「冷たい」から許されていました。だからクジラ肉には「大きな需要」があったのです。バスク人は大成功します。その成功を見てイングランドが捕鯨に参入したのは16世紀の終わり頃。オランダがそれに続きます。(両国の軍艦に護衛された捕鯨船団同士の対決、という極めて剣呑な状況です) メイフラワー号は上陸寸前に多数の鯨と遭遇しました。そして、室内での明かりには鯨油が最適でした。かくしてニューイングランド植民地では捕鯨が重要産業となっていきます。まずは海岸に漂着するクジラを解体し、ついで銛を持って人々はボートを漕ぎ出します。沿岸捕鯨の始まりです。そこで労働力として活用されたのがインディアンでした。首尾良くクジラを仕留めると浜辺で解体し、脂皮とヒゲを取ると残りは海に投棄されました。なんとももったいない話です。
 18世紀になり沖合捕鯨が盛んになります。新しい獲物はマッコウクジラ。他のクジラよりも鯨油は質が高く、さらに脳油と竜涎香という“お宝”に人は引きつけられます。しかし、沖合捕鯨が盛んになると、沿岸から鯨は姿を消します。捕鯨船はさらに遠くに出かけることになります。18世紀には大きな技術革新がありました。クジラの脳油から蝋燭が製造されるようになったのです。それまでの獣脂蝋燭に比較して、格段に明るくススが出ない高品質の蝋燭でした。アメリカ植民地は空前の好況に沸きます。しかし、英国と植民地の摩擦は発火点に到達してしまいます。ボストン茶会事件がおき、英国は報復としてニュー・イングランド地方での漁業を禁止します。捕鯨もそこに含まれていました。ついにアメリカ革命(独立戦争)が勃発します。戦争が終わったとき、アメリカ捕鯨は大打撃を受けていました。しかしそこからアメリカ捕鯨は復活します。19世紀半ばには、捕鯨はマサチューセッツ州で第3位の産業、全米でも第5位の産業となっていました。大西洋・太平洋・インド洋・北極海で捕鯨船が鯨を追います。しかし「捕鯨の黄金期」は同時に「衰退期の始まり」でもありました。乱獲で全世界の鯨の数が減少し始めたのです。航海は長期化します。それまでは3年が標準でしたが、それが4年、下手すると5年あるいはそれ以上になることもあったのです。そして捕鯨船の視界に「日本」が入ってきます。1845年には捕鯨船マンハッタン号が、鳥島で救助した日本人漁民11名を乗せて江戸に届けます。マンハッタン号は温かく出迎えられましたが、48年のラゴダ号の乗組員は日本の役人にひどい目に遭わされます。この事件が、捕鯨船のために極東に石炭供給基地を求めるアメリカの動きを後押しします。「人道上の問題」は感情を大きく動かしますから。
 戦争は捕鯨に悪い影響を与えます。こんどは南北戦争です。さらに新しい灯火燃料が普及し始めます。灯油や石炭ガスなどです。灯油ははじめは石炭から抽出されていましたが、やがて原油があちこちで掘り当てられるようになります。クジラは激減していて、北極海の捕鯨船団はセイウチ狩りに精を出します。セイウチ脂もクジラ脂と同じくらいの値段で売れたのです。しかしそれはエスキモーから食料を大量に奪う行為でした。そして1871年には氷に閉じ込められて33隻の集団遭難、76年には12隻の遭難。アメリカ捕鯨は、かつかつのところで生き延びることに必死となります。
 アメリカ捕鯨が滅びた後勃興したのはノルウェーでした。ノルウェーの捕鯨船は新発明の捕鯨砲を装備していて、アメリカ人が避けていたナガスクジラ類を狩りました。ノルウェー人はクジラは無駄なく利用して何も捨てようとはしませんでした。20世紀はじめに日本とロシア、さらにドイツ・オランダ・イギリスなども捕鯨に参入します。これらの近代的な捕鯨船団は、“効率的”にクジラを減少させていきました。もっともその頃にはアメリは人はクジラには興味を失っていたのですが。
 徹底的に「アメリカの捕鯨」を中心に置いた本ですが、それによってかえって「世界」が見えてくるようになっているのが不思議です。


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