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2014年12月30日07:26

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開放と閉鎖

 ローマ帝国は、国境を広げると同時に開いて外界と交流し異民族を取り込んでいる間は発展していました。しかし国境を閉じ守ろうとしたら衰退をしました。

【ただいま読書中】『第二の地球を探せ! ──「太陽系外惑星天文学」入門』田村元秀 著、 光文社新書721、2014年、800円(税別)
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 冥王星が発見されたのは1930年ですが、プラネットハンターたちはすでに1930年代から太陽系外の惑星探索を始めていました。太陽系の惑星がどのように生成されたかの理論はけっこう詳しく作られ「標準モデル」と呼ばれています。しかしそれが“宇宙の標準”であるかどうかはわかりません。太陽系外の惑星が見つかればそれがはっきりする可能性があります。
 地球から30光年離れたところからこの太陽系を観測したらどうなるか、と仮定してみましょう。その地点(宙点?)からは太陽の直径は0.0002秒角(1800万分の1度)、地球の明るさは25等・木星は23等と暗い上に、すぐそばの太陽がぎらぎらと輝くため直接画像に収めることが困難になります(これを「コントラスト」の問題と呼びます)。つまり非常に遠いところの惑星は、あることがわかっていても観測するのは大変困難なのです。
 1960年代にアメリカのバンデカンプが、太陽から6光年の距離のバーナード星に木星クラスの惑星が2個あると発表しました。彼が用いたのは「アストロメトリ法」で、惑星が周回することによって恒星に生じるふらつきを検出する方法です。ところが当時の技術では、そのふらつきが検出できるほどの精度が出せていませんでした。ということで、アストロメトリ法単独で発見された惑星は残念ながらありません。
 「バーナード星の惑星」は、当時はビッグ・ニュースで、SFでそれが登場する作品をいくつか読んだ覚えもあります。だけどその存在は怪しいわけですか。惜しいなあ。
 1995年「ドップラー法」の登場で事情が変わりました。アストロメトリ法と同じく、恒星の動きをこちらでも見ますが、注目するのは「位置の変化」ではなくて「変化量」です。恒星が動くと地球に届く光はドップラーシフトをします。その測定のために新しい機器が開発され1980年代から観測が始まりました。スイスのマイヨールとケロッズはペガスス座51番星がふらついていることを発見したのです。太陽そっくりのペガスス座51番星を回る惑星の質量は木星の半分で公転周期は「4日」。軌道は0.05au(天文単位=地球と太陽の平均距離、水星の軌道は0.4au)。これ、質量はずいぶん違いますが「連星」として扱っても良いのではないか、と私には思えます。(太陽系自身が、太陽と木星の連星系として扱えるのではないか、という議論を読んだこともあります)
 太陽系外に惑星が発見されたこともビッグ・ニュースでしたが、その姿があまりに意外で「標準モデル」が役に立ちません。そのため新しい理論が要請されることになりました。同時に「意外な惑星が存在する」ことがわかってから、“その目”でこれまで蓄積していたデータを解析し直したところ、続々と新しい惑星が見つかるようになりました(2010年までに500個の惑星が発見されたそうです)。1999年にはアンドロメダ座ウプシロン星が複数の惑星を持っていることがわかります。
 新しい方法も生まれています。まずは「赤外線を用いたドップラー法」。ドップラー法の精度がこれで格段に向上します。「トランジット法」も面白い。これは「惑星が恒星の前面を通過するときの明るさの変化を検出する」方法です。2012年に「金星の太陽面通過」が話題になりましたが、それと同じ原理です。トランジット法は口径数cmの望遠鏡でもできます。さらにドップラー法とトランジット法を併用できると、軌道面の傾きがわかり、そこから惑星質量もきちんと決めることができるそうです。ただ、大気の揺らぎがあると誤差が生じるため、宇宙空間に望遠鏡を上げる方が望ましい結果が出ます。実際、ヨーロッパがコロー衛星(06年)、アメリカがケプラー衛星(09年)を上げてから、一挙に2400個もの惑星が発見されました(候補は3500)。さらにその惑星に大気があると恒星の光線を一部吸収することからその大気の成分も検出できます。
 「マイクロレンズ法」は、まだ20個の発見ですが、「重力レンズ」を用いる点に特徴があります。「パルサー法(タイミング法)」は、パルサーの周囲を回る惑星があるとパルスが周期的に変動することを利用します。「なんかよくわからんが、すげえなあ」としか思えませんが。
 こうなったら「直接観測」もしたくなります。しかし「暗い惑星を検出する高感度」「主星と惑星を見分ける高解像度」「主星の明るい光の影響を抑えるためのコントラスト」の3つがすべて必要です。で、やってのける人たちが世界のあちこちにいるんですね。本書に載せられた写真を見ているとその背景にあるスケールの大きさに頭がくらくらしてきます。日本の望遠鏡「すばる」はこの直接観測で世界のトップランナーだそうです。
 1989年に打ちあげられたガリレオ探査機は木星とその衛星の観測が目的でしたが、カール・セーガンは途中でわざと地球を観測しました。目的は「地球に生命が存在するかどうかの観測」。観測されたスペクトルが図示されていますが、金星や火星と地球の違いは「水」「オゾン」それと「メタン」でした。ということは、太陽系外の惑星に(地球型の)生命が存在するかどうかはその3つを観測すれば良いことになりそうです。
 「私たちはどこから来たのか」「私たちは何者なのか」「私たちはどこへ行くのか」の疑問に様々な答えがありますが、私は宇宙に行きたい。強くそう思います。


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