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2014年12月23日06:56

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地球の満ち欠けの表現法

 地球から見て新月の時、月から見たら地球は満地球です。もちろんその逆も真。半月と半地球も対応しています。では月から見て「三日月」の形に相当する地球の形は「三日地球」?

【ただいま読書中】『人類、月に立つ(下)』アンドルー・チェイキン 著、 亀井よし子 訳、 1999年、2300円(税別)
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 1970年代は、ベトナム戦争を巡る国論の分裂やNASAに対するむき出しの敵意の発露で始まりました。そしてアポロ13号が飛び立ちます。これだけで本一冊映画一本が作れる「危機」です。ですから本書でも70頁が充てられていますが、小さなスペースにきっちりと書き込まれています。しかし、“救命ボート”として使用された月着陸船アクエリアスは、2人の人間が45時間生きていけるように設計されているのですが、そこに3人を詰め込んで77〜100時間生存させようとするのですから……「冷たい方程式」か?とつぶやきたくなります。宇宙飛行士たちは必死に計算をします。電力や消耗物資が本当に足りるか、と。地上でも彼らの生還確率を計算します。出た数字は「10%」でした。
 14号には「ヒーロー」が乗っていました。アメリカ人で初めて「宇宙」に行ったアラン・シェパードです(本当は弾道飛行でしたが)。シェパードのマーキュリーでの成功が、ケネディ大統領の月飛行への決心の後押しをしました。しかし「二度目」となるべきジェミニ1号は、メニエルのめまい発作のために逃げていきました。何年も地上勤務を続け、とうとうメニエルを押さえ込むための手術を受けてアポロの船長をゲットします。彼はアポロ13号を希望しますが、与えられたのは14号でした。そして、14号もまたミッション中止かと思わせるトラブルに遭遇します。それも1度ならず。また、ESPテストやゴルフも登場します。まったく、盛りだくさんです。たくさんすぎます。
 アポロは「冒険」ではなくて「科学調査」にするべきだ、という批判の声もどんどん高くなりました。その場面でアポロ計画の早期から“大声”を出していたのが、ジーン・シューメイカー。私にとっては、木星に衝突した「シューメイカー・レヴィ彗星」でおなじみの名前ですが、「クレーターが隕石衝突によって形成された」ことを初めてきちんと立証した人だそうです。その“大声”のおかげか、1965年から「科学者飛行士」が採用され始めます。もっとも軍人ではない彼らにとって宇宙飛行士への道は苦難で舗装されていました。訓練された地質学者が月面を歩くことが望めないのなら、目の前の岩石から「地質的な歴史」を読み取れるように宇宙飛行士を訓練しよう、と個人的に活動する学者もいます。その対象は、月面を歩く人だけではなくて、月面には降りない司令船パイロットも含まれていました。月に行かない人も月に熱意を注いでいます。
 15号では月面車(ルナ・ローヴァー)が登場。宇宙飛行士の活動範囲はぐっと広がりました。宇宙服だと足がめり込むような細かい砂塵に覆われた急斜面でも、ローヴァーは楽々と登坂します。訓練された目で岩石を見つめ、スコットとアレンは地質学者たちが狂喜乱舞するサンプルを次々見つけます。その中でも特に有名なのが「創世記の石」と名付けられた45億年前の石です。月軌道からの視覚的観察も初めて正式ミッションとして加えられていて、司令船のウォーデンも大忙しでした。そして、これまた有名な「ガリレオの実験」。ハンマーと羽根を同時に落として同時に月面に落下するかどうかの実験です。
 16号もまた、あわやミッション中止か、というトラブルに月軌道上で襲われました。それを何とか切り抜けて着陸したのはデカルト高地。ここは火山によって生成されたという説が有力でした。しかし宇宙飛行士たちが見つけたのはそれを否定する証拠ばかり。しかし、「科学が最大の進歩を遂げるのは、その予測が間違っていたことが証明されたときである」ということばがここで生きてきます。月への理解度が、「予測の否定」の発見によって、格段に深まったのです。
 そして最後のミッション、17号。船長はジーン・サーナン。アポロ10号で、月面に5万フィートまで近づいてから地球に引き返して、それからずっとチャンスを待ち続けた男です。一緒に月面に降りるのはジャック・シュミット。科学者としてアポロに参加し、激しい飛行訓練を受けて優秀なパイロットになりました。シュミットは着陸地点として月の裏側のツィオルコフスキークレーターを何度も提案しますが、あっさり却下されてしまいます。ならば表側で、火山性クレーターと思われる所は? シュミットは月面で「プロの地質学者」としての活動を開始します。玄武岩のかけらが見つかり、過去に溶岩流があったことを示唆しますが、月はなかなか“正体”を見せてくれません。しかし、シュミットはクレーターの縁で「オレンジ色の土」を見つけます。酸化しているように見えますが、月の表面でどうして酸化ができます? 答えは火山ガス。この発見で「月の生い立ち」の仮説が書き換えられることになります。また、溶けかけた角礫岩のかけらからは、35億年前に月面に衝突した小惑星の水素爆弾数十億個分のエネルギー放出の物語が読み取れました。
 「アポロ」が終わり、計画に関わった人たちはすべて“その後”を生きることになりました。私にとっても、アポロの終わりは、一つの時代の“句読点”でした。ただ、スペースシャトルがあり火星に無人探査機が送られ、日本も月や小惑星に探査機を送るのを見ていると、また月に人が立つ日がやってくるのではないか、と期待を持ってしまいます。本当に、そんな日がやって来てくれたら嬉しいのですが。 


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