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2014年12月07日08:16

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迷信

 「迷信」と呼べた時点で、ほとんどの人は「迷信の害」からは逃れることができるでしょう。こわいのは「根拠のない思いこみ」「間違った信念」を「正しい」と信じ込んでしまった場合ですが、この場合でも“害”はそれほどでもありません。害が拡大するのは、信じた人がさらにそれを根拠として行動してしまった場合です。

【ただいま読書中】『なぜ夜に爪を切ってはいけないのか ──日本の迷信に隠された知恵』北山哲 著、 角川SSC新書、2007年、720円(税別)http://www.amazon.co.jp/gp/product/B009Z7HU5W/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=B009Z7HU5W&link_code=as3&tag=m0kada-22
 「火遊びをする子どもは寝小便をする」……子どもの火遊びをいさめるための迷信でしょうが、五行も含まれているように私には思えます。五行の相勝では「火」に勝つのは「水」です。つまり火遊びをやっつけるためには水を持ち出すしかなかった、ということでしょう。
 「出がけに靴ひもが切れるとよくないことが起こる」……かつての日本では、野辺送りで、参列者は新しい草履や草鞋を履いて行き、埋葬が終わると履き物の鼻緒を切って墓場の入り口に捨てて帰りました(帰りの履き物は別に用意しておきます)。死が関係した履き物を自宅に持ち帰ることを忌避していたのです。それが現代に継承されて、「靴ひも」「切れる」になったのではないか、というのが著者の推論です。けっこうこれは当たっているのではないかな。
 「夜」に関係する迷信がいくつも登場します。「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」「夜に洗濯物を干すと招かざる客が来る」「夜中に金を数えると泥棒に入られる」「夜に口笛を吹くと蛇が出る」「夜の蜘蛛は不吉」……昔の日本の夜は、今よりはるかに暗く静かだったはず。その濃密な闇の中では、あまり陽性の動きはしない方がよい、ということだったのかもしれませんが、それにしても夜のべからずが多いですねえ。何をすれば安全だったのでしょう?
 「櫛を投げると縁が切れる」……これは完全に出典を言えます。伊弉諾尊(イザナギノミコト)の黄泉の国での出来事です。もともと「櫛」には霊的なパワーがある、と信じられていたから、粗末に扱ってはいけません。たとえ霊的なパワーがなくても、投げて櫛の歯が欠けたら実用上困りますし。
 「迷信」といっても、けっこう科学的に根拠があるものもありますし、そうでないものもあります。幸い「迷信」にそこまで支配されずに済む時代に生きているのですから、それなりに楽しんで生きていければ良いのかな。


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