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2014年12月05日07:05

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マッドサイエンティスト待望論

 かつてのパルプ小説では、マッドサイエンティストが自宅でロケットやタイムマシンや世界征服の機械を組み立てているものでした。だけど、ハイテクが普及してきた今こそ、マッドサイエンティストにとっては好機なのではないでしょうか。たとえば“手近”なところで、月へ行く、なんて、どうでしょう? どなたかやってみませんか?

【ただいま読書中】『世界はなぜ月をめざすのか ──月面に立つための知識と戦略』佐伯和人 著、 講談社ブルーバックスB-1878、2014年、920円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062578786/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4062578786&link_code=as3&tag=m0kada-22
 地球の周囲に人工衛星を打ちあげても、もうニュースにはなりません。打ちあげに失敗したらまだニュースになる場合もありますが。それどころか、最近の「月ブーム(各国が次々月探査機を打ちあげている、打ちあげようとしている)」でさえ、あまりニュースでは取り上げられません。
 月には「大きい」「近い」「分化している」という特徴があります。最後の「分化」は、太陽系のチリが集まった古い状態を保っている(未分化)のではなくて、そこでマグマが噴き出て固まりその過程で様々な鉱物が析出したことを意味します。すると“鉱山”開発が可能になるのです。
 「盆のような月」という歌詞がありますが、これは実は科学的に“正しい”ものでした。月には「衝効果」というものがあるのだそうです。月の表面は細かい砂に覆われていますが、その一粒一粒の影が「月の明るさ」に影響します。ところが真上から照らされてそれを真上から見ると「影」は存在しません。だから満月は半月の8倍以上の明るさとなり、縁までくっきりと見えるようになるのだそうです。これがその辺の普通のボールのようなもので、真ん中は明るく縁は暗く見えるものだったら、昔の「月は平面か球か」の真剣な議論はなかったでしょうね。(著者はペンキを塗った球と食塩結晶を一面に付着させた球とを照らす対照実験を行なって確認をしています)
 日本の月探査機「かぐや」には、ハイビジョンカメラが搭載されていました。高度100kmからの月表面の画像を初めてテレビで見たとき、その美しさに私は文字通り息をのみました。手を伸ばせば届くような所をゆるゆると流れていく月表面。いやあ、良いものを見せてもらいました、と拝みたくなります。
 月科学で重要な「石」は4種類です。カンラン石・斜長石・輝石、そしてチタン鉄鉱。ちなみに、月の表面で明るい部分は斜長岩、暗い部分は玄武岩だそうです。チタン鉄鉱は地球ではマイナーな存在ですが月では「海」に豊富に含まれていて、ガンダムの装甲板はこれで製造されたという設定なんだそうです。
 月で「資源」という場合、地球とは違う発想が必要です。生存条件と運送コストがずいぶん違いますから。たとえば「太陽が良く当たる場所」は立派な「資源」です。太陽電池を置くのに適していますから。「水」も、もし存在していたら嬉しい資源です。ウランやトリウムが高濃度に濃集していたら、それも資源として扱えます。「溶岩トンネル」も、昼(摂氏120度)と夜(零下170度)の寒暖差が和らげられ宇宙線の防護もできて基地として適地です。これらの「資源」は、地球で利用するのではなくて(運送コストがペイしませんから)、月で使い、さらに遠くをめざすために活用できます。
 そうそう、観光資源もあります。アポロ着陸地点など「遺物」は、将来人気スポットになるでしょう。日本の「かぐや」が衝突した地点にも、41万人の名前が刻まれたネームプレートが存在しているはずです。それを見に行けたら、楽しいでしょうねえ。


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