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2014年12月01日06:41

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食べ物で定着

 日本で最近売り出し中の「ハロウィーン」ですが、キリスト教の観点からはとっても“怪しい行事”であるものを、日本ではどう理解しているのでしょう? 現時点では「怪しいコスプレの日」?
 何か食べ物と絡めたら、定着するだろう、とは思います。クリスマスは「ケーキの日」、聖バレンタインは「チョコの日」として日本に定着しましたが、ハロウィーンは「パンプキンパイの日」にでもなるのでしょうか? 

【ただいま読書中】『ハロウィーンの文化誌』リサ・モートン 著、 大久保庸子 訳、 原書房、2014年、2800円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4562050918/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4562050918&link_code=as3&tag=m0kada-22
 「ハロウィーン」の語源は「万聖節の前夜(オールハロウズ・イヴ)」だそうです。この祝祭にサムハイン祭が持ち込まれて話がややこしくなります。サムハイン祭は、ケルト人の長い冬に備えるための収穫祭でした。種付け用だけを残して家畜は屠殺され、ハレの時だけ飲めるアルコール飲料とご馳走が振る舞われ、納税と裁判がおこなわれ、さらにケルトの神話に登場する超自然的な存在への信仰に関わる行事もおこなわれました(人間の生贄も捧げられたようです)。7世紀にはカトリックはヨーロッパのほぼ全域に広まりましたが、カトリック教会はすでに存在する祝祭をキリスト教の祝祭にすり替える戦略を採りました。サムハイン祭も「オールハロウズの日」と祝われるようになったのです。
 魔女狩りの一部の裁判で“魔女”が「オールハロウズの日に集会とサバト(魔女の宴会)に参加した」と“証言”したことから、「ハロウィーン」と「悪魔」の“関係”が生じます。
 1605年にカトリック教徒のガイ・フォークスがジェームズ一世を暗殺しようと火薬樽を英国上院に仕掛けて捕まり、拷問の末絞首刑となりました。国王が無事だったことを神に感謝するためにガイ・フォークスが捕まった11月5日は祝日となります。この日には盛んにたき火がおこなわれますがその燃料を集めるために子供たちが家々を巡りました。「トリック・オア・トリート」の御先祖様のようです。さらに11月11日にはマルティネス祭があり、けっこうこの時期は祭で忙しいことになります。さらに改暦で話が混乱します。
 「ハロウィーン」に、いつの間にか占いの要素が混入してきます。それに、ウェールズやスコットランドには独自の迷信や要請や魔女が“存在”していました。食べ物では「リンゴ」です。これはケルト人の時代にまで遡ります。リンゴが10月に熟することもその理由の一つだったことでしょう。ナッツ、キャベツ、ケールも“ハロウィーンの人気者”でした。料理・占い・遊戯などに大活躍をしています。
 マン島では10月31日の祭を「ハロンタイド(またはホプチューネイ)」と呼び、カブをくりぬいたランタンを若者たちが携え、歌いながら家々を回り歩く習わしでした。それで集めたお金でガイ・フォークスの日の花火を買うのです。
 1845年のジャガイモ飢饉により、7年間で100万人のアイルランド人が死亡しほぼ同数が新大陸に渡りました。スコットランドからも50万人が移民となります。同時に「ハロウィーン」も海を渡りました。ただし、どの風習も小道具も、いくらかずつ変容していました。アメリカでは「収穫祭のイコン」として案山子が人気者になります。ジャック・オー・ランタン(カボチャをくりぬいたランタン)は19世紀末に普及しました。イギリスではカブですが、アメリカでは「ハロウィーン」が持ち込まれる前から大カボチャをくりぬいて薄気味悪い笑顔を作ることがおこなわれていて、それがハロウィーンに取り込まれたのです。20世紀初めには「ハロウィーン・カラーは黒とオレンジ色」と断言されるようになります。地方によっては「万聖節」として厳粛に祝うところもありましたが、だんだん悪ふざけの方が優勢になっていきます。悪ふざけはエスカレートし、犯罪すれすれにまでなります(消火栓を開けたり門扉を取り外して持っていく、なんてことまでおこなわれました)。しかし、行政・YMCA・学校などが、少年たちを「いたずら」から遠ざけるように努力をします。商工会議所なども積極的に「イベント」を主催しました。こうして二つの大戦の間の時期に現在のような「ハロウィーン」がアメリカに定着します。「トリック・オア・トリート」の流れに乗って、キャンディ会社は売り上げを増やします。第二次世界大戦後はチョコレートがキャンディに挑み21世紀には販売高で上回ります。
 ハロウィーンが人気となるにつれ、ホーンテッドアトラクション産業も成長しますが、映画がデジタル化されることで仕事を失ったメイクやアート担当の人たちにはそこが良い再就職先になりました。
 こうしてみると、「ハロウィーン」は伝統をベースにしてはいますが、今は全く“別物”になっているし、その過程は現在進行形のようです。すると「日本のハロウィーン」もアリなのかもしれません。結局みんなは何を楽しんでいるのかは、私にはよくわかりませんが。


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