7日夕、飛び込んできたのは2026年ノーベル化学賞に日本の�森膩�三(そあい けんそう)・東京理科大学名誉教授(76歳)の授賞のニュースだった。
◎誰しも予想外の授賞だった
失礼ながら�森膸瓩倭瓦�下馬評にものぼっておらず、メディアもノーマークだった。事実、最初に詳しく報じたNHKの7時のニュースでも、授賞理由となった不斉自己触媒反応の説明は不得要領だった。NHKの科学記者もよく分からなかったのだろう。
予想していなかったのは、ご本人も同じだったらしく、スウェーデンからの授賞の報を受けたのは、近所のスーパーでの食材を買い物中だったという。普通は、下馬評にのぼっている研究者たちはマスメディア記者の集まる自宅などで待期しているものだ。外れたら、お疲れ様でした、と解散になる。
◎同時受賞のフランスのカガン名誉教授は95歳
むろん元所属していた理科大も同じだったようで、慌ただしく記者会見が設定されたのは、一報の3時間半後の10時過ぎだった(写真=記者会見で喜びを表す�森膸瓠法K�を持していれば、すぐに華やかに記者会見ができたはずだ。
無理もない。授賞理由となった「不斉有機合成における非線形効果及び自己触媒反応の発見」は30年前の業績で、同時受賞となったフランス、パリ、サクレー大のアンリ・カガン名誉教授はもう95歳になっていた(写真=右が�森膸瓠法�ノーベル賞は死者には贈られないので、危ういところだった。
◎研究成果の論文発表は1995年
自然界の有機物などは、鏡に映したような右型と左型の2通りあり、人間が合成すればほぼ等分に右型と左型が出来る。ところが生物は、左型しか作らず、また左型しか利用できない。どうしてこうなったのかを解いたのが、�森膸瓩良埓銅�己触媒反応だ。「ソアイ反応」として知られる。
ソアイ反応の研究成果が発表されたのは1995年のイギリスの科学誌『ネイチャー』でだった。この論文で、世界で初めてごく小さな偏りも、ちょっとだけ多い分子が触媒になって自らを増やし、やがて圧倒的な差になることを示した(図)。
だから初期に自然合成されたアミノ酸も、等分の左型と右型があったのに、左型がほんの僅かに多かったから、左型アミノ酸が触媒のように働き、アミノ酸は左型ばかりになり、最初の生命はそれを利用したということになる。
�森膸瓩砲茲襪函�現在ではわずか0.00005%という極めた小さな偏りからも反応を3回繰り返すだけで偏りを99.5%にまで増幅できるという。化学合成の現場では、ソアイ反応の応用で、医薬品の合成でも有用な左型だけを濃縮できる。
◎凋落著しい日本の科学技術力に将来が思いやられる
今年のノーベル科学3賞では�森隋ε豕�理科大名誉教授の化学賞受賞で、日本生まれで後にアメリカ国籍を取得した人を含めて28人となった。また化学賞は、前年の北川進・京大特別教授に続いて連続となった。
ノーベル科学賞3賞の受賞は、1国の科学技術の水準の高さを示すものだから、これは素直に喜ばしい。しかし今回の�森膸瓩領磴睫声┐垢襪茲Δ法⊆�賞業績は30年前前後のものなのだ。現在の科学水準ではない。
日本の科学論文の発表数は世界で10数番目に落ち、引用される重要論文も激減している。博士の数は、減っている。
いつまでもノーベル賞受賞ラッシュが続くわけではないことは肝に銘じておきたい。特に為政者と科学界には奮起を促したい。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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昨年の今日の日記:「ノーベル物理学賞にアメリカの量子力学の研究者3氏:追記 化学賞は京大の北川進氏ら」
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