ノーベル賞の季節がめぐってきた。
そのトップを切って2026年の生理学・医学賞が5日、発表された。
◎光遺伝学を確立
受賞者は例年のように3人。アメリカ、スタンフォード大学のカール・ダイセロス教授(54歳)、ドイツ・フンボルト大学のペーター・ヘーゲマン教授(71歳)、同ビュルツブルク大学のゲオルク・ナーゲル教授(73歳)だ(写真=左からダイセロス氏、ヘーゲマン氏、ナーゲル氏)。
光を当てるだけで狙った神経細胞の活動を自由に切り替えられる技術を開発、光遺伝学という研究分野を確立した。ちなみに光遺伝学とは、初めて知る分野だ。
有力候補とされた日本の森和俊・名城大教授は授賞を逸した。
◎チャネルロドプシンで脳の神経活動を操作
ヘーゲマン氏とナーゲル氏は、単細胞の緑藻が光に向かって泳ぐ際、感知してからわずかな時間で反応することに着目。2000年代初頭、緑藻の細胞には光を受け取ると即座に電気信号を生み出すたんぱく質があることを突き止め、「チャネルロドプシン」と名付けた。
ダイセロス氏は、2005年、ヘーゲマン氏らの発見したチャネルロドプシンたんぱく質を用いて哺乳類の細胞で働かせる手法を確立した。このたんぱく質をつくる遺伝子をラットの神経細胞に導入し、青い光を照射することで、神経活動を意図的に引き起こすことに成功した(図)。
◎行動や感情を意図的に変化させることも成功
07年には光ファイバーを使い、生きたマウスの脳内にある特定の神経回路に光を当てることでオン・オフ制御し、行動や感情を意図的に変化させることにも成功した。
こうした技術は、どの神経回路の異常が神経疾患を引き起こしているかを突き止めるのに役立てられている他、視覚障害者の視力回復を目指す治療法開発などにも応用が広がっているという。
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