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2020年01月08日21:11

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「呪われた詩人たち」

読書日記
「呪われた詩人たち」
ポール・ヴェルレーヌ
 著
(幻戯書房ルリユール叢書)

ランボー、マラルメ、コルビエールなど、ヴェルレーヌ自身を含む同時代の見捨てられた詩人たちの紹介。

ヴェルレーヌはこんなプロデューサー的な仕事する人だったんだと思ったが、どうやら時代に認められた詩人たちへのルサンチマンと、自身の失地回復のために立ち上げた企画だったらしい。どうりで詩人たちの紹介はやたらの絶賛と詩篇引用だけで終わっており、読んだからといって特別どうだという印象はない。本書は巻末に訳者による長文の解題が掲載されており、ここを読んでこそこのヴェルレーヌの仕事がなんであったか、当時のフランス出版界の様子がわかって楽しめる。確かにヴァルモールやリラダンまで入ってくると違和感は拭いえない。

妻子を捨ててランボーと同棲したり、暴れて母親をなぐったりと数々のスキャンダルで文壇から抹殺されていたヴェルレーヌだが、すべて本人の自業自得。ところがいかにも性格破綻者のようでありながら、その後教職に就いたり、丁寧な手紙でマラルメやリラダンに連絡を取って編集を進めたりと、社会性(社交性)はあるほうだったのは意外だ。
やがて若手詩人たちにも認められ、「呪われた詩人たち」はヴェルレーヌ復活のきっかけとなった書として文学史にも連なるようになるのだから、なんでもやってみるもんだ。

ちなみに自分はリラダン愛好家で齋藤磯雄訳の全集も持っています。
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