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2018年07月18日06:04

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僕には“眉つば”物の霊能力者を扱いながら、納得させる不思議な力を持った作品。マウゴシュカ・シュモフスカ監督「君はひとりじゃない」(2015)。

ポーランド映画ということですが、監督も俳優も名前を見ただけでは誰ひとり分からないという、手さぐり状態です。監督はマウゴシュカ・シュモフスカという女性で、imdbによると“現在もっとも著名なポーランド人監督のひとり”とあります。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を取ったらしい。ということで見ることにしました。

主人公は検察官ヤヌシュ(ヤヌシュ・ガイオス)で、首つり死体を検分しています。で、死体を回収しようとしたら、その死体が突然起きあがって歩き去ってしまいます。これが北ヨーロッパ独特のクールなタッチと言うか、冷ややかと言うか、そんな画面のタッチで描かれ、その話はそれっきり。そんな不思議な映画です。

ヤヌシュは6年前に妻を亡くしていて、そのせいで一人娘オルガ(ユスティナ・スワラ)が摂食障害になっています。で、通院させて治療しているのですが、そのカウンセラーが霊能力者だという展開です。

僕は霊能力というものが前面に出てくる映画が嫌いなのですが(真面目に物語を追うと何でもありではぐらかされることが多いから)、この映画の冷たい画面感覚がそこいらのホラー映画と違うので、93分という手ごろさも手伝って問題なく見終わりました。

原題が「Cialo」で、これは英語だとbodyだそうです。邦題はラストに流れる音楽の題名を頂いていますから、気にしないでください。リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインのミュージカル「回転木馬」の中の曲を、イギリスのポップグループのひとつジェリー・アンド・ピースメーカーズが歌っています。

ということで、緯度が高い地域独特の日差しの柔らかさ(というより寂しさ)が全編を包み込んでいるホームドラマでした。セリフが少なく説明もあまりしないから、冒頭の死体が歩いた理由などが分かりません。それでも冷ややかな画面のタッチで危うい家族関係というものを感じ取れば、それはそれで味のある作品だと言えます。

世の中にはいろいろな映画があるわけで、こういう作品にめぐり会えるとありきたりな映画にはない新鮮さを感じます。コンビニの弁当ばかり食べさせるような日本の映画館事情からすると、ちょうどいい刺激ではないでしょうか。ドカン、ガシャンのCGアクションや、マンガみたいな主人公ばかりの映画より、ずっと味があると感じました。これこそ、お暇ならぜひどうぞ。
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