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2016年08月09日19:34

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「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」

読書日記
「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」
キルメン・ウリベ
 作

スペインは北部バスク地方の言葉で書かれた小説。かつてバスク地方の叙事詩といったものもあまり無く、現在バスク語を話す人間はスペイン国内の3割くらいといった状況らしい。
とはいってもこれはバスクの歴史でもなんでもなく、作者がバスクの地元からニューヨークへ旅する途中で心に浮かんださまざまな出来事を徒然なるままに書き綴って、親子3代の暮らしを振り返るという内容だ。しかもストーリーはまるで無くあちこちで聞いた実話をすこしづつ繋いでいく、エピソード小説といった類いのもので、やや奥行のあるエッセイのようだ。

そもそもは地元の画家と建築家の友情深き交流の後を追って、かれらの縁者をたずねた話から始まるが、かつて出会ったいろんな人から聞いて書き留めた話へと限りなく繋がっていくので、あまり人物名を覚えていても仕方がないような気がする。作者の実家が漁師で、わざわざスコットランドの北方ロッコール島やデンマークの先っちょスケーエンまで出かけていく遠洋漁業の話がおもしろい。

その他もろもろ実話ばかりだが、この時代スペインがフランコ独裁政権下であり、バスク独立闘争があったことは基本です。
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