ボクが社会人のラグビーを見たのはいつ以来かと考えてみた。
早稲田が東芝府中に勝った日本選手権の決勝・・・・・つまり学生が最後に優勝したあの年以来ということになる。
堀越とか今泉がいたあの時の早稲田。国立の電光掲示板の真下で見ていた。ゴール裏の一番安い席だった。
それ以来、関東学生の対抗戦や大学選手権は何度も見たが社会人の試合を見ることはなく、もちろん日本選手権を見ることもなかった。
ラグビーは日曜日に行われることが多い。日曜日が基本的に仕事であるボクはなかなか縁がなかったこともある。だが、かつてよりも人気がなくなったことも足が遠のいた原因かもしれない。
でも、考えてみればおかしい。日本代表のラグビーは明らかにレベルが上がっている。なのになぜ人気が落ちていくのか・・・・
何となくわかるような気がする。
ラグビーは学生スポーツの域を超えていないのではないか・・・・プロがないからかもしれないが・・・・
早稲田対明治の国立でのチケットがプラチナ化していたのはいつまでだろう。数年前に国立で見た早明戦は満員とは程遠かった。もちろんすごく盛り上がっていたけれど・・・・
その原因はライバル対決だ。
たとえば神奈川における高校野球の横浜対相模や埼玉の浦学対春日部共栄・・・・大学野球では明らかに早慶戦がそうだ。
プロ野球なら巨人阪神もそうだし、JリーグならG大阪と浦和とか鹿島対横浜など・・・・
試合のレベルとは関係のないライバル関係・・・・
ではラグビーではどうか・・・・
東芝対パナソニックは家電メーカーでのライバルではあるが、ラグビーでそのような意識がどれだけあるだろう・・・・・
ラグビーならやっぱ早明戦だろう。帝京が強くなっても・・・・・
そして今年の決勝はヤマハ対サントリー・・・・・トップリーグの牙城を破った帝京を意地で凌いだ東芝は準決勝でヤマハに敗れ、TL優勝のパナソニックはワイルドカードから勝ち上がったサントリーに苦杯をなめた。
それでも今日の決勝はお客さんが入った。メインスタンドとバックスタンドはほぼ満員。
青と黄色に分かれたスタンドはそれなりの盛り上がりを見せたが・・・・・・
試合も好ゲームだった。前半はほとんどがヤマハのペース。その勢いのままヤマハはリードする。源五郎丸の長い距離のPGがきいたように思えた。
しかし、後半はサントリーが支配率を上げ、何度も相手ゴールに迫ったが最後には反則が出て後半はスコアレス。
高い集中力とボールへの集散が早いヤマハは最後まで試合を支配した。運動量豊富なサントリー凌駕した。そして、試合は前半のまま15−3で終わった。
試合が終わると表彰がある。お互いのチームが各応援団に挨拶を終えると、さらに相手チームの応援団に挨拶に行くというのは学生スポーツだけかと思っていたが、この決勝戦でも見ることができた。
ノーサイド・・・・試合が終われば敵味方はなくなるというこの試合終了を示す言葉は日本人を刺激する。
サントリー側にいた外国人の女性が甲高い声で応援していた。タックルを「タッコー」と叫ぶ声の通るその女性はサントリーの外国人選手の関係者なのだろう。なぜなら日本語での応援スタイルをすべて理解していたのだから・・・・・
しかし、その女性は試合が終わった瞬間叫んだ。
「ヤマハ、おめでとう!!」
少しなまりのある日本語の発音だったが、その声はスタンドに響いた。
昨今は人気が落ちているラグビー・・・・競技人口も減って、高校選手権の県予選決勝はあってないようなところもある。でも・・・・ラグビーは日本らしいスポーツだ。あれだけ激しいコンタクトのある競技でありながら、スタジアムが険悪になることはない。この日も2つのシンピンが出たが、サッカーに見るそれとはまったく違った。
今年はラグビーワールドカップイングランド大会の年だ。その次は東京で行われる。
サントリーを応援した外国人の女性と優勝に沸いたヤマハの関係者と、育成の力を示した清宮監督と・・・
数かずの日本ラグビーの良さを感じた今日の決勝戦、しかし、誰も卵など投げつけないしブーイングもしないけれど、更なる強化にはもっと多くの人たちが関わるべきだと思う。
早明戦のような伝統の試合だけではなく日本代表強化につながる試合をもっと多くのファンが見て意見しなければならないのかもしれない・・・・サッカーで言えばキリンカップに対して大きな反響があるように・・・・
ボクは2015年シーズンはもっとラグビーを見に行こうと思った。
2015年2月28日 第52回ラグビー日本選手権決勝(於 秩父の宮ラグビー場)
ヤマハ発動機ジュピロ15−3サントリーサンゴリアス(初優勝)
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