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2020年01月06日20:14

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「時間は存在しない」

読書日記
「時間は存在しない」
カルロ・ロヴェッリ
 著
(NHK出版)

数式を使わず一般向けに書かれた科学エッセイなどはよく読んだが、これほど驚いた本はない。まさに目からウロコの一冊。
しかし素直に言って自分が理解できているとはとても思わない。

4光年離れた天体と今ここにいる自分との間で、同時とか現在とかいうものが成立しないことはなんとなく気づいていたが、同時に流れる時間というのはある範囲内で成り立つものらしい。運動している物体と静止している物体で流れる時間の早さが違うように、時間は個々の出来事ごとにある。すべては様々な出来事の連なりであって、全宇宙の背後に流れるひとつの時間というものはないらしい。

われわれが把握できる世界が非常にぼんやりとした限界のあるもので、部分的にのみ世界と相互作用している状態であるから、その範囲ではたしかにエントロピーは増大していて時間変化を感じてしまうが、ミクロの状態から見ればなにも変わっていない。
例えば赤と黒に分かれたカードがシャッフル後に混ざってしまって、我々から見ればたしかにエントロピーは増大しているのだが、ミクロな粒子のレベルを見れば増大していない。おそらくこの理解は間違っているだろうが、カードの例えがそうだとしても、これがなぜ熱力学第二法則にまで敷衍できるのかわからない。ここで使われている「ぼやけ」という認識のあり方がいまひとつわからない。
量子論の世界に入ると数式が使われてなくてもイメージがつかめなくて、さすがにはっきりと理解するのは難しい。

変わって我々の内的な仕組みはすんなりと理解できる。世界はつねに今現在しかないが、我々には記憶というものがあり、その脳内に残る物事の痕跡と今現在の様子をくらべて、物事の経過を知ることができる。これが時間を感じる所以である。時間はわれわれの精神が作り出すものである。
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