私は貧乏だし家も狭いので、本は買わずにほとんど図書館で間に合わせているのだが、先日ウィトゲンシュタイン関連の本を一度に3冊も買ってしまった。以前からウィトゲンシュタインは面白いと思っていたが、最近はますますその傾向が強まっている。
ウィトゲンシュタインは難しいと言われているけれど、私に言わせればカントやフッサールよりははるかに易しいと思う。「純粋理性批判」は読んでも2割くらいしか理解できない。「現象学の理念」は最初の2頁を読んだだけで本を投げつけたくなった。どちらも一度アカデミックな場で哲学の素養を積んだ人でないと理解するのは難しいような気がする。
それに比べると、ウィトゲンシュタインはいきなり読んでも半分くらいは分かるし、一般向け解説書ならほとんど理解できる。語弊があるかもしれないが、彼が素人っぽい哲学者だからではないかと思う。彼は彼以前の哲学者の誰にも似ていないが、身近かな問題を素朴に取り組んでいるだけのようにも見える。身近過ぎて気がつかないような問題に対して素朴すぎる疑問を抱く、それを尋常でない執拗さで追及するのが彼のスタイルである。
彼の本を読むと、哲学的気づきというものがどういうものであるかということを教えられるし、その取り組み方の真摯さにも心打たれる。とても刺激的だ。
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