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2018年07月30日07:09

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少子高齢団地

 「少子高齢社会」とか「人口減少」とか「地方消滅」とか、恐ろしげな言葉があちこちで使われています。
 20年くらい前だったかな、家を買おうと思ってあちこちを見ていたとき、近郊の住宅団地を見に行ったことがあります。ここはその時から2〜30年くらい前に開発されたところで、開発当時はすごい人気だったのでどうせ高いだろうと思って参考までにと行ったのですが、意外とリーズナブルな値段でした。ただ状況を調べると、できた当時に子連れでどっと入ってきた人たちが、そろって同じだけ年を取り、子供たちは成長してもう他所に行き、つまりは「少子高齢団地」になりつつあったのです。これはちょっと先が心配、ということでそこは候補から外しましたが、今あそこはどんな状態になっているのだろう、と思うことはあります。一挙に世代交代するのではなくて、少しずつ移行する方が、安定的な社会になるのでしょうね。

【ただいま読書中】『都市の老い ──人口の高齢化と住宅の老朽化の交錯』齋藤誠 編著、 勁草書房、2018年、3500円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4326504420/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4326504420&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=cbc94f1dcb302b9a961592b950cf84a7
 人は高齢化し、住宅は老朽化します。本書ではそれだけではなくて、地域的な変遷(都市中心部で老朽化した住宅が、家賃の安さと便利さで若者に人気になる。都市周辺では高齢化と老朽化で空き家や空き地が増える)に注目し、「中心→周辺」と「周辺→中心」の二つの「高齢化/老朽化」の動きが起き、それが都市周囲のどこかで交錯することになる、と述べています。単に静的に「高齢化」「老朽化」を論じるのではなくて、人の動きも加味して動的に論じているのが特徴です。
 ちなみに行政は「動的」なものを扱うのが大の苦手。だって官僚が大好きな「書類」に落とし込むのが困難な事象が多いですから(「書類」になった時点で“それ"はすでに固定されてしまっています)。
 人口動態は、細かく見ると見えることが増えてきます。たとえば東京都では、これから人口の面で“衰退(高齢化、減少)"する区と“成長"する区は半々です。つまり「東京都」として見たら問題点が見えなくなります。
 地価は基本的に人口密度によって価格が決定されます。しかし、同じように高齢化・人口減少をきたしている地方都市でも、地価が低迷するところもあればそうではないところもあります。ここで注目されるのは、公共交通機関、行政の人口移動に対する働きかけです。本書では「福岡市では人口密度の変動と地価の変動が連動しているが、コンパクトシティ政策を推進している富山市ではそういった“標準的な連動"が見られない」とあります。
 1970年代から日本中でマンションが盛んに建てられるようになりました。そしてそれらは順次老朽化しつつあります。しかし、共有部分と専有部分の組み合わせで構成されるマンションは、立て替えなどが困難で、その困難さゆえに異常な価格低下を来たし、結果として都市のスラム化を推進する恐れが大です。さらにマンションは、空き地や空き家に比べて空き部屋が目立ちにくく、対策が遅れがちになるでしょう。
 「老いる都市」に対する即効策は「都市のダウンサイジング」でしょう。しかしそれには根本的な発想の転換が必要です(これまでの「都市計画」は「成長」が大前提ですから)。さらに私が気になるのは、昭和・平成の大合併によって役所には「広域行政」も必要になっていることです。都市のダウンサイジングと広域行政との両立って、簡単ではないでしょう。両立ができなければどちらかを切り捨てる、とならなければ良いのですが。


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