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2018年07月02日06:48

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感情は結果

 行動の結果、何かの感情が生まれる、それは自然なことです。しかし、何かの感情を動機として行動をした場合、その結果は不自然なものになる場合が多くあります。

【ただいま読書中】『優しい死に神の飼い方』知念実希人 著、 光文社、2013年(14年2刷)、1800円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4334772897/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4334772897&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=74e844cf18ec2c747f454da0d6e18b89
 地上で犬の体に閉じ込められた状態で「仕事」をすることになってしまった「死に神」は、緩和病院(ホスピス)で「仕事」をすることになってしまいます。その仕事は、未練のために素直にあの世にいけず、死後に地縛霊となってしまう人たちの未練をあらかじめ解決すること。
 いやこれは、良い設定です。もうすぐ死ぬ人ごとにまったく違ったテーマが設定できるし、「生と死」と「ホスピスという舞台」についての考察や解説で本一冊の全体を「縦に貫くテーマ」で統一することもできます。さらに主人公が「犬」ですから、視点が物理的にぐっと下がって、読者が見える世界がそれだけで違う様相を見せるでしょう。
 ところが著者は私の予想より一枚か二枚上手でした。ネタバレになっちゃいけないですから、筋の展開については触れませんが、戦前の話から始まり、そして7年前の強盗殺人事件が登場。そして、ホスピスを強引に買い取ろうとする怪しいヤクザまがいの人間。それらが次々つながっていきます。また、犬だからできないことと犬だからできることがストーリー展開に重要な役割を果たします。
 さらにもう一つ、最後になってわかる“裏テーマ"。いや、「死に神」が「天使」に見える、とは思っていましたよ。最初から「人を殺したりはしない」などと露骨に言っていましたからね。だけどその天使が左遷をされたら○○をしてしまう、なんてことは予想できませんって。
 実に楽しめる本です。人の死を扱う本で「楽しめます」と言って良いか、と一瞬考えますが、たぶん本書の死に神さんは「楽しめ」と言ってくれるだろうな。


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