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2018年06月05日10:02

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梅原猛の仏教観は物足りない

梅原猛先生の思想的な主張は共感できることが多く、広範な学識には教えられることも多い。しかし、仏教に関する言及にはいつも物足りなさを感じている。どうも禅に対する理解が足りないような気がする。そのため仏教におけるもっとも知的な部分をスルーしているような気がしてならないのだ。
梅原先生に言わせると、日本仏教の最も重要なキーワードは「草木国土悉有仏性」であるという。本来は「一切衆生悉有仏性」と言うが、日本では無生物までが仏性があるとされたのである。

仏性はなかなか理解しずらい概念である。私自身は「一切衆生悉有仏性」という言葉を「一寸の虫にも五分の魂」という言葉と同等の意味に解釈しているが、「草木国土悉有仏性」はどう解釈すればよいのか? 結局、すべてのものに感情移入するという以上のことは思い浮かばない。慈悲の感情をすべてのものに振り向ける、ということは仏教本来の方向性にも沿っているような気がする。

それはそれで結構なのだが、仏教のキーワードと言えばやはり、「無常」、「無」、「空」、「無記」ということになるのではないかと思うのだが、それらの概念についての触れ方が平板な気がする。そのため、仏教に対するアプローチがどうしても情緒的なもの物語的なものに偏っているような印象を受ける。

梅原先生は立派な学者であることは違いないとしても、哲学者ではなく文学者ではないのか、という印象がぬぐえない。
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