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2017年12月23日21:32

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びじょとやじゅう

 美しい女性と醜い男(あるいは魔法で醜く変えられた男)との「真の恋愛」物語はいろんなパターンがありますが、その逆バージョン(ハンサムな男と醜い女(あるいは魔法で醜く変えられた女)との「真の恋愛」物語って、有名なのでどんなのがありましたっけ?

【ただいま読書中】『イカロスの失墜 ──悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン一世伝』菊池良生 著、 新人物往来社、1994年、2427円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4404021305/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4404021305&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=6a0e97c264c18cd44ddfad4274ec3bd8
 話は1832年ハプスブルク帝国で始まります。皇帝フランツ一世の孫としてフェルディナント・マクシミリアン(愛称マックス)が誕生しました。後のメキシコ皇帝ですが、本書はその「前」から悠々と筆を起こします。フランツ一世の長男は病弱で嗣子を設けることは不可能と思われ、次男が期待を一身に集め、期待通りマックスの兄が誕生、マックスはいわば「スペア」です。ところがマックスの父の兄が結婚したことで跡継ぎ問題に波乱が生じ、さらにナポレオン二世(ナポレオンとマリー・ルイズの間の子供、ライヒシュタット公)が妙な絡み方をしてきます。
 兄ヨーゼフと弟マックスは、ある意味牧歌的な少年時代を過ごしますが、1948年革命が全ての人の運命を変えます。「ウィーン体制を粉砕せよ」を合い言葉に、フランス、バイエルン、そしてオーストリアに革命の火の手が。王家は一時ウィーンから疎開、事態が収まってヨーゼフは即位、王弟となったマックスは海軍の建て直しに奔走します。
 ヨーロッパは、衰退する帝国と王国と、勃興するナショナリズムと革命の気運によって、混沌状態になりつつありました。そんな中、マックスはイタリア総督となります。難しい役目です。国内では「凡庸な皇帝」と「賢い弟」という評判が定着してしまいます。これは、二人にとって不幸なことでした。フランスのナポレオン3世はヨーロッパの再構築を目指していましたが、アメリカは南北戦争の真っ最中。そのどさくさ紛れにメキシコに干渉戦争をしよう、と思いつきます。そして何を思ったのかメキシコに立てる予定の君主国をマックスにまかせようとします。オーストリア皇帝ヨーゼフは驚きますが、“人気者の弟"を厄介払いする好機です。フランス軍はメキシコに侵攻、ファレス大統領とメキシコ軍はメキシコ・シティーを明け渡しますが、フランスが占領できたのは「点と線」だけで「面」はファレス大統領のもののままでした。フランス軍は、マックスを援助しようとやってきたオーストリアやベルギーなどの義勇兵を、戦闘が激しい地域に回し自軍の温存を図ります。そして皇帝軍はついにファレス軍に包囲されます。マックスは降伏、軍事裁判、銃殺。スペインに散々蹂躙されていたメキシコは、マックスを殺すことで「白人に対する復讐」の一部を遂げたのかもしれません。なんだか筋違いな復讐のような気もしますが。


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