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2017年12月09日07:20

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食感

 食レポで「ふわふわ」とか「もちもち」をやたらと強調する人は「食感」ではなくて「触感」を語っているんです? で、肝腎の、お味は?

【ただいま読書中】『泥棒をつかまえろ!』オットー・シュタイガー 著、 高柳英子 訳、 童話館出版、2013年、1500円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4887501447/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4887501447&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=8efb9d28f4084d73a677886d048e081d
 夏休みにクラスの合宿でスイスの田舎に出かけた少年たち。しかしそこでお金を盗まれてしまって合宿は中止になってしまいます。誰が犯人か? はじめは少年のうちの誰かが犯人と考えられていましたが、やがてスイスに出稼ぎに来ている素行不良のイタリア人に疑いの矛先が向きます。
 こう書くとまるで推理小説か冒険小説のような感じですが、本書は青春小説です。ローティーンの少年少女の行動や会話が生き生きと描かれています。少女は「プールがある(さらに使用人もいる)豪邸」に住む14歳の美少女。少年は労働者階級で両親は離婚した15歳の実にナイーブな子。階級差があまりに露骨な二人の会話の話題が少年が夏休みに体験した「泥棒事件」である、というだけのことなのです。
 ただ『海が死んだ日』や『Nr.16 47 12』の著者の作品ですから、本書にも捻りが存分にきかせてあります。
 少年たちは「泥棒」を追跡することにします。ここで「イタリア人(「イタ公」)に対する差別意識」がちらりと顔を出します。そして「どうしてそんなことになったんだ?」という事態に。
 繰り返しますが、本書は明るい青春小説です。しかしその明るさのひと皮下には「人生の苦さ」「人間性のダークサイド」「社会の矛盾」などが「さあ、味わってみろ」としっかり存在しています。ただ、本書に登場するある人物のように「学ぶことができない人」「教訓をきちんと味わうことができない人」「苦さに耐えられない人」もいるでしょうね。ともかく、本書はその「明るさ」だけではなくて「苦さ」ゆえに、読む価値がある本だと私は思っています。


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