mixiユーザー(id:6327611)

2017年08月02日13:57

1379 view

アメリカ版DVDを取り寄せて見たのは、もう10年前のことか。バッド・ベティチャー監督「七人の無頼漢」(1956)再見。

子供のころに見たランドルフ・スコット主演の西部劇です。スターチャンネルで放送してくれました。でも待ちきれず、10年前にアメリカ版のDVDを取り寄せて見たのでした。なにしろ80分に満たない西部劇ですから、英語字幕だけでもそこそこ分かります。むしろ冒頭の雨宿りシーンなどは、今回の日本語字幕がそっけなくてつまらない。

つまり、誰かを追っているらしい男(ランドルフ・スコット)が、“焚火が見えたので雨宿りさせてほしい”と、岩陰で寝ようとしている二人組に近寄るシーンから始まります。このとき、きちんと礼を尽くしているのですが、二人組の片方(ジョン・フィリップかな?)が銃に手をかけようとする。するともう一人(チャック・ロバートソンでしょう)が、“丁寧に頼んでいるんだ。雨の中に追い返すわけには行かない”と招き入れます。

僕はこの“丁寧さ”がポイントだと思うので、今回の字幕のようにそっけないとちょっと面白くありません。もちろんスコットはこの2人が追っている強盗の一味だと知っているのですが、それでも“荒野の仁義”というものを盾にして近寄るところがポイントなのです。

脚本はバート・ケネディ。後に漫才みたいな楽しい西部劇を監督した人です。このころは、まじめな脚本を書いていたんですね。この映画の原作も彼ということで、ハリウッド映画デビューなのかな。俳優になろうとして失敗し、ラジオの台本などを書いていたようです。

ところで冒頭、パラマウントの最近のロゴマークが出ます。そのあと堂々とワーナーのマークが出て驚きました。映画の最後にバトジャック・プロと出ましたから、ジョン・ゥェインのプロダクションですね。本当はウェインが自分で出るつもりだったけど、「捜索者」の撮影とぶつかったためらしい(どちらもワーナー映画)。だからヒロイン役にゲイル・ラッセルをと、ウェインが推したわけですね。ゲイル・ラッセルは当時、アルコール依存症だったみたいで、この5年後に亡くなっています。

序盤に騎兵隊が現れ、その隊長がスチュアート・ホイットマンでした。しかし、そこだけしか出てこない。途中からスコットの追跡にリー・マーヴィンが加わるわけですが、彼は犯人逮捕ではなく犯人たちが盗んだ2万ドルが目当て、という展開です。

題名が「七人の無頼漢」ですが、どうも数が合いません。犯人たちが7人だと言うのはリー・マーヴィンで、そのうち2人をスコットが殺しています。残るは5人ですね。主犯はジョン・ラーチですが、スコットが金を見つけ出したと知り仲間を2人送る。当然のごとく、その2人はスコットに殺されます。

リー・マーヴィンはそのことを、“取り分を増やすため、スコットに殺させようと送り込んだ”と言います。これで残りは3人のはずなのに、ジョン・ラーチにはあと一人仲間がいるだけ(これ、クリフ・ライオンズ?)。これでリー・マーヴィンが犯人側にいたら、ちょうど7人になるのですが、マーヴィンは1人仲間を連れていますから8人になる。もしかしたら、金を運んだ男を仲間として勘定していたのか?

ま、そんなことは瑣末な話ですから、最後にリー・マーヴィンとスコットが対決するという、B級西部劇のお約束を楽しめばいいわけです。ちょっとネタバレになりますが書いてしまうと、スコットが冒頭で2人を殺すとき、スコットが撃つ場面を見せません。相手が二人だから、もしかしたら先に抜いて殺したのかも。そしてラストのリー・マーヴィンとの決闘も…。

てなわけで、80分未満ですが楽しく見終わりました。こういう娯楽が、1950年代後半には当たり前のように近所の映画館で上映していたのです。今では近所の映画館なんか存在せず(奈良市は数年前に市内の盛り場から映画館がなくなりました)、シネコンではCGを多用したスペクタクルなアクションがスクリーンの大半を占め、ちょっとした娯楽映画はDVDか有料テレビで見るほかありません。時代が変わったということですが、やはり残念な気がします。とりあえず僕は、そういう映画を楽しむ環境を持ち続けようっと。

なおポスターなどにはワーナースコープとありますが、もともとのサイズはアメリカンビスタのようです。ワーナーがビスタサイズを採用していたということか?
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年08月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031