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2024年05月27日06:25

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モーガン・スパーロックの訃報に接し、彼が加わったオムニバスの経済ドキュメンタリーを見直しました。「ヤバい経済学」(2010)再見。

モーガン・スパーロックは「スーパーサイズ・ミー」(2004)という映画で知っています。ジャンク・フードと呼ばれるハンバーガーを、1か月間それだけを食べ続けたらどうなるか、という実証ドキュメンタリーでした。食事をすべてバーガーショップで済ませ、それも“こういうセットはいかがですか?”という提案にすべて応じる、というもの。

そして「ヤバい経済学」は、「ロスト・シティ」や「ピクセル」の製作者セス・ゴードンらが集まり、4つのテーマでドキュメンタリーを作っています。その元ネタはスティーヴン・D・レヴィットとスティーヴン・J・ダブナー2人の経済学者「ヤバい経済学」(“Freakonomics”=奇形経済学という造語らしい)という本。

それぞれの挿話タイトルと監督を列挙しておきます。
モーガン・スパーロック 「ロシャンダが別名なら」
アレックス・ギブニー 「純粋さの崩壊」
ユージーン・ジャレッキー 「『素晴らしき哉、人生!』とは限らない」
ハイディ・ユーイングとレイチェル・グレイディ 「高校1年生を買収して成功に導けるか」
そして、イントロ&エピソード間シークエンスはセス・ゴードンでした。

「純粋さの崩壊」では、日本の相撲界に焦点を当て、八百長疑惑について語ります。7勝7敗で千秋楽を迎えた力士の勝ちが75%もあるという事実を指摘し、相撲界だけではなく日本社会に根強い“阿吽の呼吸”や“魚心あれば水心”という社会構造に言及します。そして、かつて幕内で活躍した板井が、八百長の存在を主張したけど無視された事実も。

前回見たときは、“堕胎の合法化が犯罪発生を抑えた”という仮説に感心しました。今回は、不動産業者が、仲介した家を“早く売れ”と進言するのに、自分の家を売る場合は“じっくり待つ”という現象が興味深かった。つまり仲介手数料の数%しか手にはいらない場合は、その物件を早く片付けて次の商売に進みたいけど、自分の家の場合は少しでも高く売れば手数料の数%とは比較にならない利益があるからでした。

ことほど左様に、資本主義の理論は社会に蔓延しています。そして視覚化された金額の多寡を“ものごとの判断基準”に考える人間のなんと多いことか。って、僕も自分のマンションを売るときに値引き交渉にきた仲介業者に、“僕に値引き交渉を要求するより買い主を説得するほうが早いでしょ”と進言して、僕の言い値を呑ませましたけど。

そして“インセンティブ契約”という話も興味深い。つまり僕は「ジャンクSPORTS」というテレビ番組で、代打として“ヒット1本いくら”というインセンティブ契約をしていた関本選手が、先発メンバーにも起用されることが多くて“1本いくらの契約は実に美味しかった”と語っていたのを見たばかりなのです。←流行りの契約を安易に持ち込んだヤツが悪い(笑)。

それにしても「高校1年生を買収して成功に導けるか」で、落第点ばかりとっている“劣等生”に、及第点を並べたら1科目につき50ドル渡すと釣る話で、スケボー兄ちゃんがウハウハと飛びつきながら、結局自分が勉強するしかないと気づき脱落するシーンは痛烈でした。母親が、“私も同額出してやる”と乗っているのに、兄ちゃんは努力しない。

で兄ちゃん曰く、“軍隊に入って稼ぐ”だって。先日就職先のない人間が海兵隊に入ろうとして苦労する映画を見たばかりの僕は、この兄ちゃんとは仲間になりたくないと思うのでした。命をかけた兵士たちが、恩給などを“経済理論”でどんどん減額されている事実を、ちっとは知っておけよと思うわけです。

ということで、モーガン・スパーロックさんが亡くなったこととは別に、世の中の“真理”として通用している事柄を、もういちどきちんと考え直す必要がありますね。トランプが少数野党支持者に対して、“俺に投票しなければ、しょせん少数派でしかない”というのも尤もに聞こえます。そう、ある部分が尤もに聞こえるという論理がいちばん怪しい。

そういう風に感じた場合は、物事を根本からきちんと考え直す、それが大切なのでした。それは面倒な作業ですが、近道して楽しようと考えたらドツボにはまるということを、よくわきまえましょうね。って言いつつ楽な方を取る日本人のなんと多いことか。“♪やつらは楽な方を取るのさ。誰とでも手をつなぐんだ”という歌詞を反芻しましょう。

写真2は日本語翻訳本です。アマゾンに安く出品している業者がいたので買いました。まだ届かないけどね。
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