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2017年06月11日07:39

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劣等人種の証拠

 ヨーロッパでは長らくユダヤ人は「差別されるべき民族」でした。差別されるだけではなくて虐殺の対象でもありました。やがて、黒人やインディオなども“その位置”に当てはめられる、というか、「そもそも彼らは人間か? サルか? その混血か?」とさえ問われる事態となりました。たしか“彼ら”が「人間」だと認められるためには「キリスト教を信じる集団」が出てくることが必要だったはず。「キリスト教を信じるのは、人間の証拠」ということだったのでしょう。ただ、やっと「サル」から「人間」に昇格できても、「劣等民族」の座しか用意されてはいなかったのですが。
 で、現在「劣等民族」と言うこと自体がよろしくないことになっています。しかし、歴史的にずっとそういった「劣等民族」が存在し続けていた、ということは、「そういった存在」を必要とする人たちが多かった、とも言えます。
 で、現在「劣等民族」に位置づけられているのは、イスラム教徒ではないか、と私は疑っています。差別するのにいろいろ理屈を付けていますが、要は差別したい人が「差別したい」という欲望に従っているだけではないかな、と。でそこで「キリスト教を信じない」が“何かの証拠”とされているのではないでしょうか。

【ただいま読書中】『メキシコ革命』国本伊代 著、 山川出版社、2008年、729円(税別)
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 20世紀前半にメキシコでは,政治の民主化と経済・社会の改革をめざした「革命」が起きました。
 フランス干渉戦争で英雄と呼ばれたP・ディアスは大統領選で2回敗れた後、1876年に武装蜂起、「ディアス独裁体制」を確立しました。当時のメキシコ国内は群雄割拠状態で、1846〜48年のメキシコ・アメリカ戦争で国土の半分を割譲させられたことからアメリカの軍事介入への恐怖もあり、ディアスは「パンとこん棒」と呼ばれる徹底した強権政治を行います。このことで「パン」の恩恵にあずかれない有力者や中間層は不満をため込みました。またディアスは外国資本や技術導入を盛んに行いましたが、それによって「メキシコの富」が大量に外国に流出し、国民の不満は高まりました。農村はアシエンダ(大規模私有地)やプランテーションによって、私兵団を抱えた大地主と多数の農奴で構成されるようになりました。
 体制を批判する者は弾圧され、アメリカに逃亡したフローレス=マゴン兄弟らはメキシコ自由党を結成。独裁者の批判とメキシコの民主化を要求し続けます。1908年ディアスは「1910年の大統領選挙には出馬しない」と宣言、これによって国内には大きな政治的な動きが生じます。対立候補としてマデロが立ったのです。しかしディアスはマデロを逮捕、選挙で自分が7回目の再選をされた翌日釈放しました。マデロはアメリカに亡命、そこで武力を伴う反政府運動を開始します。はじめは散発的だった武装蜂起はやがて全国に波及、11年5月ディアスは大統領を辞任して国外逃亡をしました。マデロは選挙で大統領に選出されますが、社会改革ではなくて政治改革を目指していたため農民勢力が離反。13年にウエルタ将軍がマデロを暗殺して実権を掌握。それによって分裂していた革命勢力は反ウエルタでまとまり護憲派勢力と呼ばれるようになります。ウエルタ政府が倒れると護憲派勢力と農民勢力はまた分裂して激しい内戦へ。カランサを指導者とする護憲派勢力が全土の7割を掌握し1917年に革命憲法を制定します。農地改革やカトリック教会資産の接収などは、26〜29年の「クリステーロの乱」という一種の宗教戦争を引き起こしましたが、アメリカが仲介して教会と連邦政府の間に和平協定が締結されます。
 明治維新ではけっこう血が流れたと思っていましたが、それでもあれは世界の歴史の中では例外的に“平和”的なクーデターだったようです。欧米列強が遠かった、とか、日本の国民性とか、原因はいくつもあるのでしょうが、「宗教戦争」が絡まなかったことも大きかったのかな、とメキシコ革命の歴史を学んでいて感じました。
 アメリカは、メキシコの動乱が自国に波及することを恐れて、露骨な介入を避けました。ドイツは、利権獲得とアメリカへの牽制をねらって(武器・弾薬の供給や軍事顧問の派遣など)露骨に介入します。のちのベトナム戦争のことも私は連想しましたが、この当時は「帝国主義の時代」ですから、むしろベトナム戦争が「帝国主義の残影」として捉えられるべきなのかもしれません。第一次世界大戦で不利な状況になったドイツは、メキシコがアメリカに宣戦布告するように、という工作さえ行っています(「ツィンメルマン電報事件」)。ただ、メキシコでは社会主義政権はできなかったからアメリカは冷静に対応できましたが、これがキューバのような事態になっていたら、どうなっていたかはわかりません。もう一つメキシコの“特異性”として「政治に介入しない軍部」があります。これはラテンアメリカでは極めて珍しい存在です。また文化的には、先住民文化を「メキシコのアイデンティティ」とする「インディヘニスモ」という新しいナショナリズムを革命政権は採用しました。先住民文化を再評価するだけではなくて、国民統合のシンボルにすることで、多数の先住民と混血民族から成る「メキシコ」の独自性を主張しようとし、1960年代から先住民に対してはそれまでのスペイン語強制から、二重言語政策(先住民の言語も学べる)に政策を転換しています。
 トランプ大統領の言葉だけ聞いていたらメキシコはとんでもない国になりますが、トランプさんはメキシコに革命があったことも知らないフシがあります。そして、メキシコ革命はもしかしたら現在も進行中なのかもしれません。どんな国になるか、トランプさんの言葉以外にももうちょっと資料が必要そうです。


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