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2017年01月25日06:59

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絶滅の危険を前にして

 小惑星が地球に衝突したことで恐竜は絶滅した、と言われています。しかし、その大災厄で即座に恐竜がすべて死んだわけではないでしょう。やっとの思いで生き残った個体もいたはず。ただ、食糧は足りず、配偶者にも巡り会えずにそれらは少しずつ死んでいったはずです。
 ところで地球の温暖化ですが、これも人類が“即死”をするわけではありません。少しずつ少しずつ「ゆでガエル」のように環境が悪くなっていって、気がついたらもうどうしようもない状況に追い込まれている、となるのではないか、と私は想像しています。
 小惑星の衝突に対して恐竜は何もできませんでした。人類は、温暖化に対して同じように「何もできない」ではないですよね。手遅れになる前に、何か具体的にできないでしょうか。

【ただいま読書中】『世界の終わりの七日間』ベン・H・ウィンタース 著、 上野元美 訳、 早川書房、2015年、1600円(税別)
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 『地球最後の刑事』『カウントダウン・シティ』の続編、シリーズ最終作です。
 小惑星が衝突して世界が終わるまで、あと7日。前作で自宅を失った元刑事ヘンリーは、警察官とその家族たちが終末を迎える(うまくいけば終末を乗り切る)ために立てこもる「警官のいえ」を出て、妹ニコを探しています。前二作で「なぜ、探す?」と尋ねられても上手く答えられなかったヘンリーですが、今回は「家族だから」と答えることができます。ただ、世界が終わろうとしている大混乱の時に? しかもニコは、国際的な陰謀(小惑星が地球に衝突することを防止するとかしないとか)に関係しているかあるいは関係しているという妄想に囚われているわけで、どちらにしても、無事発見できたとしても、ヘンリーの身柄が無事で済むかどうかの保証はありません。ニコの周囲には怪しすぎる“仲間”がたくさん群れているのです。
 これまでヘンリーは、ノートに熱心にメモを取ってきていました。しかしノートはついに最後の一冊。補充はもう望めません。残りページはどんどん減ります。地球最後の日までの時間もどんどん減ります。
 ついにニコのすぐそばまでヘンリーは肉薄します。場所はオハイオ州の片田舎の警察署。しかし妹は地下にこもっていて、二人の間を分厚いコンクリートの塊が遮断しています。ヘンリーは喉をざっくり切られた若い女を発見します。妹ではなかったことにまず安堵し、ついで恥じます。彼女も誰かの妹で誰かの娘なのに、と。
 そして別の若い女性の他殺死体も。ヘンリーは「最後の捜査」を開始します。本当は時間をかけて悲しみをいやしたいところですが、「時間」はもうないのです。ヘンリーを含むすべての人類には。
 「あとどのくらい?」少女がヘンリーに尋ねます。彼は答えます。「あと3日」。「あとどのくらい?」若い女性がヘンリーに尋ねます。「あと2日」。
 殺人事件の謎は解けます。しかし「最大の謎」はついに解かれないまま、本書は終わります。だけどそれは大きな問題ではありません。本書は「最大の謎が解かれないこと」の余韻にも大きな価値がありますから。


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