mixiユーザー(id:235184)

2016年09月28日06:14

312 view

練習の邪魔をする人びと

 リオ・オリンピックのメダリストたちがぼつぼつ次の大会に出場していますが、あまり成績が振るいません。「オリンピックの後、調整が……」と言っていた選手がいましたが、つまりは「取材」「挨拶回り」「祝賀会」「祝賀パレード」「名誉なんちゃらの授与式」などで練習どころではなかった、ということなのでしょう。ところで、メダリストに練習をさせなくて“得”をする人って、いましたっけ? もしかして他国のライバルの手先?

【ただいま読書中】『将棋・名勝負の裏側』将棋世界 編、日本将棋連盟、2016年、1540円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4839959544/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4839959544&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 本書は、「将棋世界」という将棋雑誌に連載された「棋士同士の対談」を集めたものです。
 高校時代に私は将棋に夢中になっていて、「将棋世界」も定期購読していました。学校を卒業してからは将棋にはとんと縁がなくなってしまいましたが、あの雑誌はまだ存在しているようです。
 「第3局 木村一基×野月浩貴」では、2人とも小学四年生の時に北海道で開催された大会で初対面、奨励会に同期で入会し(2人とも小学六年生の時)、しかしそこから長い長い修行生活が続き、2人とも四段になれたのは23歳(プロ将棋の世界では四段になれて初めて「とりあえず一人前のプロ」扱いしてもらえます)、という長い交流について語られます。ライバルで戦友で親友、という複雑な関係で、時には「自分が勝てば昇級だが、相手は降級」というシビアな対局もあったそうです。それにしても「三段リーグ(奨励会の三段だけ30数名が半年間リーグ戦で戦い続けて、トップ2人だけが四段になれる)」で、皆本当に心身ともにぐらぐらしながらシビアな勝負をし、皆よく泣いている、という話からは、勝負の世界の厳しさが伝わってきます(「首に縄をかけられたまま対局をする」と表現されています)。
 「第4局 三浦弘行×伊藤真吾」では、羽生さんが「冷房を切りたい」に三浦さんが「いいですよ」と返したのが、マスコミを通じると「そんなことはしなくていいですよ」に“変換”されてしまったエピソードが紹介されます。“変換”というか、悪意に基づく脚色でしょうけれど。だけど三浦さんがそういったマスコミに曝されたのは羽生さんとの対戦の時だけでしたが、羽生さんは当時七冠だったので四六時中そういったマスコミと付き合わされていたわけです。大変だったでしょうね(今でも大変でしょうが)。
 ところで、本書には棋士30人15組の対談が収載されていますが、そこに羽生さんは入っていません。入っていませんが、彼の名前はあちこちに登場しています。もしかしたら本書で一番たくさん登場する人名は羽生さんかもしれません。将棋界でいかに大きな存在であるかがよくわかります。
 プロの将棋で印象的なのは、「感想戦」です。対局が済んだ後2人で対局を振り返ってどこが勝敗の分岐点だったか、敗因や勝因の分析を行います。負けた方はさっさと帰りたいだろうに、きちんと公開の場で反省をして次に活かそうとする態度には敬服します。将棋は「人が指すもの」なんですね。最近はコンピューター将棋がどんどん強くなって、もう「読む力」では人の領域を越えているのかもしれませんが、それでも人が将棋を指す意味はある、と私には思えます。少なくともコンピューターは感想戦をしてくれそうにありませんし。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年09月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930