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2016年08月04日19:56

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「悲しみを聴く石」

読書日記
「悲しみを聴く石」
アディーク・ラヒーミー
 作

戦禍のアフガニスタン。英雄として讃えられていた夫は、首に銃弾を撃ち込まれたまま植物人間と化して帰宅。妻の手によって毎日カテーテルから栄養を注ぎ込まれている。妻はコーランの教えにしたがって数珠をたぐりながら正しく祈りを捧げているが、約束の2週間を過ぎても夫はまったく目覚める気配はない。砲撃の音を近くに聞くなか、戦争は街に迫り、やがて銃を手にした男達がやってくる。

話しかけてもなんの反応もないこの極限の状態で、妻は初めて夫に愛や性や生活に関わるほんとうの思いを語りはじめる。それまでの生活がDV状態なのだから、夫が植物人間というこの設定があって初めて女性の思いを明らかにすることができるのだ。これが現代アフガン女性の人生というものなのか。
旧弊残る男性社会のなかに生きるイスラムの女達が何を考えて生きているか。あたりまえのことだがそれは世界中の人々となんら変わらない。
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