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2015年05月05日07:29

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イスラム原理主義の主張への素朴な疑問

 もし「イスラム」が異教や偶像をすべて徹底的に否定するものなのだったら、どうしてピラミッドやスフィンクスが残っているのでしょう?

【ただいま読書中】『高層建築物の世界史』大澤昭彦 著、 講談社現代新書2301、2015年、1300円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4062883015/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4062883015&link_code=as3&tag=m0kada-22
 日本で高さ100m以上のビルが初めて作られたのは、霞が関ビル(1968年、156m)です。しかし2014年3月末の時点で高層ビルは都内だけで400棟となりました。
 歴史的にはけっこう昔から高層建築物がありました。メソポタミア文明のジッグラト(宗教建築。バビロンのは高さ90mだったそうです)、エジプトのピラミッド、ヨーロッパの大伽藍、そして19世紀の摩天楼が林立するアメリカ。
 おっと、一気に歴史を走りすぎました。一度古代ローマに戻りましょう。古代ローマにはコロッセウムや凱旋門やオベリスクといった巨大建築物が多くありましたが、実は“高層アパート”都市でもありました。紀元前3世紀ころはまだ3階建てくらいでしたが、人口密集に従ってアパートはどんどん高くなり、ついには6〜8階建ての“高層アパート”が密集するようになったのです。しかしそういった高層化は、火災の被害を大きくし、建物の崩壊事故ももたらしました。
 ヨーロッパの中世を著者は「塔の時代」と呼びます。大聖堂や城塞など、多数の塔が建築されました。特にイタリアの都市国家では、貴族などが競って塔を建て、市庁舎としても立派な塔が建てられました。イスラーム世界では巨大なモスクが作られました。モスクに付随するミナレット(光塔)は特に高さを意識させるものです。仏教建築でも巨大な伽藍が作られました。特に仏塔は垂直性を強く意識させるものです。
 15世紀頃から、都市のスカイラインは変化します。大砲の進歩により、塔よりは低く分厚い城壁が作られるようになりました。ルネサンスの「理想都市」では、統一された都市の景観が重視されました。その中で、防災や日照確保のためだけではなくて景観のためにも高層建築の高さ制限が広まります。
 19世紀のパリ大改造では、高層建築と広場や道路が“セット”で扱われました。非凡な着想だと感じます。というか、現代日本でそういったトータルな視点からの都市計画ってどのくらいあるのだろう、とも思います。
 「改造」ではなくて「新築」したのが、ワシントンDCです。ここでは「アメリカのシンボル」として、街路やワシントン記念塔などに様々な“意味”が重ね合わされています。
 日本ではやはり天守閣、特に安土城の天守閣ですね。江戸時代の町に高層建築はあまりありませんでしたが、明治になってどんどん作られるようになります。面白いのは、天守閣風や仏閣風の建物がけっこう多いこと。“モデル”がそれくらいしかなかったからでしょう。明治5年の大火で東京の銀座あたりが焼失しますが、その再建では、道路の幅に応じた高さ制限が行われ、統一的な街並みの形成が志向されました。丸の内ではロンドンを手本として赤煉瓦のオフィス街が形成されました。これはのちに鉄骨造り、鉄筋コンクリートのビルへと変わっていきます。
 産業革命以後の鉄・ガラス技術の進歩により、近代の高層建築がもたらされました。さらにエレベーター技術も。かくしてマンハッタンの摩天楼街が形成されます。ビルの形態は機能に従い、その高さは経済性に従っていました。もっとも「世界一の高さ」にこだわる人もいます。エンパイア・ステート・ビルがそうでした。クライスラー・ビルに“勝つ”ために、わざわざてっぺんに60mのマスト(飛行船の係留用)を追加したのです。キングコングには掴むのにちょうど良い“手すり”でしたが。ともかく「資本主義社会の象徴」としての摩天楼です。それに対して全体主義国家では「プロパガンダの手段」として高層建築が作られました。ヒトラーにしてもムッソリーニにしても「でかい自己愛」という感じですが。日本からも様々な高層建築が紹介されていますが、その中でユニークなのは「軍艦島」ですね。スペースの関係で高層アパートが密集して建てられています。必要に迫られたからとは言え、なかなか“先進的”な発想です。
 1950年代からは、世界中で「超高層ビルの時代」となりました。日本でも「31m制限」の問題点が指摘され、1963年に建築基準法が改正されます。それからの日本の超高層化は、恐ろしいようなペースですね。
 そして今、超高層ビルの“中心地”は、中東(ドバイやサウジアラビア)やアジア(台湾、中国、マレーシア)に移っています。これらの多くは“国策”としての超高層ビルのようです。
 さて、これからの超高層ビルは、一体何のために建てられるのでしょう? それは「ビル単独」で考えるのではなくて「都市全体」に視野を広げて考えなければならないことなのでしょう。


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