mixiユーザー(id:235184)

2015年04月23日06:31

419 view

ドローンでテロ(?)

 テロというか、テロの予告のつもりなのかもしれません。あるいは「爆弾を積んでいつでも襲えるんだぞ」の示威。もっとも、本気でテロをするつもりだったら、あからさまな手段の誇示はしないでしょうけれどね。
 もしかして「汚染水はコントロールされている」に対する皮肉の表明のつもりかな?(「ほら、コントロールされてないじゃないか」) だけどこんなことをしたら、汚染水に関して首相や官邸を批判する人間が批判しづらくなる(「テロリストの仲間だ!」)になるのがオチではないかしら。

【ただいま読書中】『影のミレディ(ブックマン秘史2)』ラヴィ・ティドハー 著、 小川隆 訳、 早川書房(ハヤカワ文庫SF1932)、2013年、1040円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4150119325/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4150119325&link_code=as3&tag=m0kada-22
 『革命の倫敦』の続編です……と思って本を開くと、最初に登場するのは、武侠小説とミスター・ウー。おやおや、と思ううちに舞台はさっと変わって、パリのモルグ街。そこで密室殺人が行われ、窓からは変なものがやって来ます。
 「その後のオーファンの物語が読めるのかな」なんて思っていた私はみごとに肩すかしを食って、苦笑するしかありません。著者は本好きを“もてなす”のが、本当にお上手です。
 『革命の倫敦』で起きた事件の余波が、パリにも及んでいます。しかしヴィクトリア時代のことですから、その多くは噂レベルの情報でしかありません。ただ、この3年間ブックマンのテロが止んでいることが、何か意味ありげです。
 さて、颯爽と登場したのは「ミレディ」。貴族との結婚歴がある女性、身長185cm、漆黒の肌、格闘技に優れ、腰にはコルト・ピースメーカー(知らない人のために。古いタイプのでかい拳銃(リヴォルヴァー)です)。そんな人がパリの町を堂々と闊歩しているのですから、とんでもなく目立ちます。実際、かつてはサーカスにいたこともあるようです。彼女は自動人形で構成された議会の命令を受け、殺人事件の捜査をします。最初の犠牲者は、腹の中に何かを手術で埋め込まれてそれを運んでいたアジア人。彼は密室で殺され、解体されて腹の中から「何か」を抜き取られていました。そして次の犠牲者は、そのアジア人に隠れ家(密室となった部屋)を提供していたご婦人。
 アジア人と言えば、「ぼくを銃にして」と願う少年カイも登場します。私は思わずウフコック(『マルドゥック・スクランブル』に登場する、人語を解する万能武器)を想起します。もっともウフコックは人型ではなくてネズミ型でしたが。そして、カイはメコン河の水を飲んでいます。どう考えてもパリのミレディと出会うべきなのに、二人はあまりに遠すぎます。
 ミレディの“捜査”は、闇の中で両眼を閉じて広い部屋の中を手探りしている感じで、しかも何を探しているのかわからないままなのです。しかし、探しに訪れる先で、次々死者が発生します。中国や英国を代表とする各国の秘密情報部、複数の秘密結社、さらに蜥蜴族が「何か」を探し回っていて、ミレディは常にその“捜索の焦点”に位置しているようなのです。というか「釣りの餌」です。彼女が動くことで、様々なエージェントが彼女の回りに集結します。そして、極めて暴力的で荒っぽい方法で、ミレディは「歩く銃」に作り替えられてしまいます。そして、カイもまた、こちらは“ソフトな侵略”とでも言いたくなる方法でやはり「銃」になりつつあります。
 面白い小説のガジェット(の変形)が次々登場します。フランケンシュタイン、ハイド氏、鉄仮面、三銃士、モロー博士、そしてなぜかリングワールドやゲイトウェイも。
 そして、ヴェスプッチア(この世界ではアメリカ)万国博に“役者”が終結します。人間と、自動人形と、蜥蜴と、異世界の産物と、そして苦痛も。そう、本書の影の主役は「苦痛」です。人が人であることの苦痛、そして、人が人でなくなることの苦痛。自動人形も蜥蜴も異世界の産物も知らない苦痛を、人だけが感じています。これほど苦痛に満ちた改変世界は珍しいと感じます。だけど、その中に私は希望を探します。観覧車の心棒に宇宙を見つめるミレディのように。


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年04月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930