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2014年12月31日07:26

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レジスタンス

 ナチスドイツに対する抵抗運動で有名なのは「マキ(フランスのレジスタンス)」や「パルチザン(ユーゴスラビア)」ですが、ドイツ国内でもいくつかの運動がおこなわれていました。
 日本ではどうでしたっけ? 戦争反対を公然と唱える人はアカとして刑務所に根こそぎ移住させられていたはずですが、こっそりと破壊工作をしたりする国内での「レジスタンス」はありましたっけ?
 そういえば敗戦後に占領軍に対するレジスタンスがあったともあまり聞きませんね。占領軍に抵抗しないこと、それが、出し遅れの「大日本帝国に対するレジスタンス」?

【ただいま読書中】『軍服を着た救済者たち ──ドイツ国防軍とユダヤ人救出工作』ヴォルフラム・ヴェッテ 著、 関口宏道 訳、 白水社、2014年、2400円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4560083703/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4560083703&link_code=as3&tag=m0kada-22

 「ドイツ国内にナチスに対するレジスタンス運動があった」ということは、『「白バラ」尋問調書』フレート・ブライナースドルファー 編、 石田勇治・田中美由紀 訳、 未来社、2007年、3200円(税別)http://www.amazon.co.jp/gp/product/4624111966?ie=UTF8&tag=m0kada-22&link_code=as3&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4624111966や『ヒトラー暗殺計画とスパイ戦争』ジョン・H・ウォラー 著、 今泉菊雄 訳、 鳥影社、2005年、2800円(税別)http://www.amazon.co.jp/gp/product/4886298834/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4886298834&link_code=as3&tag=m0kada-22で驚きと共に知りましたが(映画「シンドラーのリスト」で知った人もいるでしょう)、本書もまたドイツ国内(あるいはドイツ占領地)でのレジスタンスに関する本です。舞台はなんとドイツ国防軍内部です。
 この主題に関する調査は困難です。すべては「地下」で行われているのですから。それでも、軍事法廷の記録や、救済されたユダヤ人の証言などを手がかりに、著者は辛抱強く歩を進めます。本書の目的は(当然ですが)「軍人にはこんな良い人もいた」と言い立てることでナチスの免罪を目指すことではありません。追い込まれた状況であっても、高い代償を覚悟してでも、人間として尊敬に値する行為を実行した人がいることを記録し、後世の教訓(と警告)にしようという目的の本です。
 本書に取り上げられるのは、10人の国防軍の軍人です。軍曹から大佐まで、階級は様々です。活動した場所も時期もばらばら。共通点は「画一的ではない」こと。各人がそれぞれの置かれた環境でできることをしています。移動証明書や洗礼証明書を発行してユダヤ人の身分を偽装させたり、食料や武器をゲットーに運び込んだりしています。
 『戦場のピアニスト』でシュピルマンをワルシャワで“援助”した軍人も登場します。ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉ですが、彼はシュピルマン“以前”にも継続的にユダヤ人救済活動をおこなっていました。ナチスの蛮行を見て「ドイツ人として恥ずかしい」と感じたことが動機だそうです。さらに贖罪の意識もあった様子です。これには彼の深い信仰心も強い影響を与えているようです。
 収容所での恋愛感情から始まったユダヤ人救済もあります。ヴィリ・シュルツ大尉は、愛人(とその姉妹)を救うために一緒にミンスクのゲットーから脱走をしたのです。あまりに個人的な活動ですが、脱走の時に持ちだした書類によってソ連軍は効果的な爆撃ができています。
 本書では「自由裁量」の重要さも繰り返し指摘されています。たとえ「世界」を変えることはできなくても、自分の環境で自分の自由裁量の範囲内で抵抗をすることは可能なのです。必要なのは、勇気と希望かな。


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