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2018年11月17日08:34

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チェーン規制

 昭和の頃、「チェーン規制」がかかると高速道路で積雪の有無にかかわらずすべての車がチェーンを巻くことが強制されました。だけど雪がない路面だとチェーンはすぐに切れてしまいました。また、スパイクタイヤやスタッドレスの場合、チェーンを巻くとタイヤの性能がかえって低下する場合があります。また、本当の大雪になって車の腹をこするくらいになったらチェーンを巻こうが巻くまいが、車はもう進めません。
 今は「冬用タイヤ規制」となって、監視する人は(以前の「チェーンを巻いているかいないか」の区別よりも)「この車のタイヤはノーマルかそうでないか」を見分けるのが大変でしょうが、運転する側としてはロジカルに対応できるようになりました。
 ところが国土交通省はこんどは「大雪チェーン規制」をするそうです。意味が分かりません。昭和の頃と「チェーンの性能」に何か大きな変化があったのでしょうか。それともチェーン業界から強力なロビイングか賄賂攻勢でもあったのかな。

【ただいま読書中】『重力波は歌う ──アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』ジャンナ・レヴィン 著、 田沢恭子・松井信彦 訳、 早川書房、2016年、1600円(税別)
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 「二つの物体の間で光を往復させたら重力波が測定できる」という“俳句のようにシンプル"なお題の具体的な技術を思いついたのはMITのライナー・ワイス。しかし彼のアイデアはアメリカでは潰され、ドイツで進展します。アメリカで重力波測定の機器を建設しようと苦闘するワイスに転機をもたらしたのが、キップ・ソーンとの出会いでした。
 第二次世界大戦直後、欧米の科学者たちは「戦争に貢献したこと」に複雑な感情を抱いていました。つまり「自分の手が血に塗れているかどうか」が問題だったのです。ところが「忌まわしい水爆」開発から離れて「恒星進化の過程」を研究したソーンが出会ったのは、水爆の中と同じ核反応でした。ソーンは、ブラックホールや恒星からの重力波放出について精密で独創的な理論を構築し、30歳でカルテクの教授に就任していました。
 アインシュタインは「重力波の存在」についての態度が、存在を信じたり信じなかったり、揺らいでいました。しかし「光速が速度の上限」を認めたら、そこから自動的に重力波の存在は導き出されるそうです。
 ソヴィエトのブラギンスキー、スコットランドのドレーヴァーなど、とっても変わった科学者が次々登場します。著者は彼らの話し言葉に注目していて、どんなしゃべり方をしているか、を詳しく描きます。そう言えば本書のタイトルは「重力波は歌う」でしたね。すると本書は一風変わった「聴覚的に描かれた科学の本」なのかもしれません。
 「重力波検出装置」は、L字型に直交した二本のトンネルです。レーザー光線が往復するのでどちらも完全に真っ直ぐに掘る必要があります。長さは長ければ長いほど感度が上がります。内部は完全に真空にする必要があります。そして、強力なレーザー光線を発射してL字の頂角のビームスプリッターで二つに分けてトンネルの奥へ。そこには精密な鏡が設置されていて(微細なワイヤーでぶら下げられていています)レーザー光線を元来た方向に送り返します。戻ってきた光線を再結合させて、トンネルの距離が同じならきれいに重なります。ところが重力波が通り過ぎたらトンネルはわずかに伸び縮みします。すると二つの光はわずかにずれて干渉縞が発生します。干渉縞が発生したらそれが重力波を検出した証拠です。シンプルです。
 ……ところが、話はシンプルには進みません。ややこしいややこしい。
 たとえば近くをトラックが通ったら、その振動で鏡は揺れます。金も山ほど必要です。さらに反対者も山ほど。「重力波など存在しない」「あっても検出などできない」「ブラックホールなど実在しない」などなどなどなど。さらに、ウェーバーという“先駆者"が「重力波が検出できた」と華々しく発表してそれが証明できなかった、という大失敗をしていたこともワイスたちの足を引っ張りました。さらに、あまりにビッグなプロジェクト(1億ドルでもまともに動く装置は作れません)のため協力することにしたMITとカルテクの関係も構想や権限を巡ってぎくしゃくしています。
 「LIGO」と名付けられた装置は、極めて鋭敏な振動検出器でしたが、その管理体制は極めてお粗末でした。もしかしたら人間同士のゴタゴタも空間を振動させてLIGOに「周辺からの雑音」として検出されていたかもしれません。さらに議会承認を巡っての政治的なゴタゴタがまたプロジェクトの足を引っ張ります。「科学する」のも大変です。しかし、民主党と共和党の対立が、LIGO建設の足を引っ張るとは、政治は科学にとって有害なものですか?
 「重力波を“聞く"」とは、自分の魂が宇宙規模にまで拡張されたような気分を味わわせてくれることばです。私も広大な宇宙の極微の“音"を聞いてみたい。


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