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2018年01月01日07:24

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明けましておめでとうございます

 本年も力の続く限り読書日記を続けていく予定です。おつきあい下さったら幸いです。

【ただいま読書中】『黒い国の白い傭兵 ──コンゴ残酷戦記』ハンス・ゲルマニ 著、 松谷健二 訳、 早川書房、1969年、420円
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 1960年に独立したものの、「アフリカ大陸でザンベジ川より北では一番地下資源が豊かな国」コンゴは無能な官僚と腐敗した政治家が作り出した泥沼にずぶずぶとはまっていました。中国の支援を受けた反乱軍による内乱が始まり、アメリカや南アフリカやベルギーなどの介入が泥沼をまずます深くします。傭兵も募集されます。著者は「医者」として勧誘されます(実際には大学で学位を取った後、患者には一切触ってはいなかったのですが)。反乱軍は政府に従う村(ほとんどは反乱軍とは別の部族の村)を焼き払い、そこを奪還した政府軍は「反乱軍に従った村」を焼き払います。
 傭兵といったら私がすぐ思うのは「スイス傭兵」と「フランス傭兵隊」ですが、本書に登場するのは、「軍隊」とはほど遠い「政府軍と名乗る武装民兵集団」です。中には「報酬として自分の土地がもらえるはず」と信じている兵士もいますが、歴史に詳しい著者はそんな期待は裏切られるのがオチ、と考えています。
 アメリカ政府は、「白人傭兵の存在」を公認しませんでした。しかし現地のアメリカ軍は「君たち無しでは戦局は悪化の一方だった」と傭兵を評価しています。魔術の世界にまだ生きている反乱軍の兵士たちは、魔術的に強い白人傭兵たちを恐れて逃走を繰り返し、軍は瓦解。やっと平和を取り戻した住民たちは、次に「解放軍」に対して「解放は感謝するが、連れて行った女性たちを家族に返してくれ」と陳情します。反乱軍でも政府軍でも、兵隊というのはやることは似ているのかもしれません。
 65年に反乱はついに終息、そこでベルギーが“果実"を摘み取ろうとします。「コンゴの大問題はですね、コンゴ人がアフリカのベルギー人で、ベルギー人がヨーロッパのコンゴ人だと言うことです。両者ともいい勝負ですよ」という言葉を著者は紹介します。そしてまたコンゴは混乱のルツボに。著者は「白い巨人たち」の活躍は一体何だったのか、と自省し、それでも何か有用な意味があったはず、と考えています。


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