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2017年05月11日22:52

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SF古書/ワールドベスト1967

超会議帰国で入手したSF古書は、34冊だ。ほかに新刊で入手したのが5冊ほどある。ファーマーやバロウズやハリスンは読みたくて仕方ない。今回はイラストだけが目当ての「エストカープ」や「レムリアンサーガ」や「戦士ブラク」が入っている。こちらは今一つ食欲が湧かないが、昔のシリーズSFはつまらなくても短めで読みやすいので、時期が来たら一気に読破する。

新刊書のストックがまだいくらか残っているのでこちらを先に片づけたい。けど、少しだけのつもりが全部読んでしまったので、先に紹介しておきます。

・ワールドベスト1967 追憶売ります 編:ドナルド・A・ウォルハイム&テリー・カー
年刊傑作集だ。SFの傑作集はジュディス・メリルのシリーズが有名だが、あえて直球SFを避けるという方針のせいで、SFというより異色小説集になっている。若いころ読んで面食らって落胆したものだ。年取ってから価値がわかるようになったけど。どこかに書いてあったが、メリルが極左なら「ワールド」シリーズは中道右派である。おなじみの作家に混じって他では読めないレア作品が混じっており、お得感の強い逸品であった。印象的な作品は、

『去りにし日々の光』ボブ・ショウ 光が遅くなるガラスの話だ。切ない後味が心に沁みる。
『あざ笑う死体』A・A・ウォルド 未来警察のデーターでも調べられない、謎の死体が出現した。機知に富んだ解決がいかにもなSFミステリ。
『どんがらがん』エイヴラム・デヴィットソン 変なタイトルなので気になっていた。内容はもっと変だった。文明が滅びた未来の地球で、巨大な大砲を牽引して歩く集団がいる。アクションとユーモアと悪趣味が合体した娯楽作だ。かなり好き。

『何時からおいでで』ダニー・プラクタ 時間テーマのショートショート。オチの鋭さに感嘆した。
『九百人のお祖母さん』ラファティとディックの表題作は、ユニークであるが既読だった。

本書で最高の評価を与えたいのは、二編収録のロジャー・ゼラズニイだ。『十二月の鍵』は寒冷地用猫型サイボーグが主役だ。任務終了後に住むところがなくなったので、仲間と共に手ごろな惑星を寒冷化しようとする。『フロストとベータ』は、人類消滅後の地球で、誰が環境整備を担うかでロボットたちが争う。いずれも異なる知性の主が神になるという、SFならではの壮大なドラマだ。こういう充実した力作を読むと、SFファンでよかったと思わされる。

いいアンソロジーだった。あと三冊あるので楽しみだ。★★★★★
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