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2017年03月06日06:57

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スプーン一杯の蜂蜜

 スプーン一杯の蜂蜜を見ながら考えました。これだけの蜂蜜を集めるのに、どれくらいの数のミツバチがどのくらいの時間仕事をしたのだろうか。どれくらいの範囲に咲いた何本の花からこの蜜は集められたのだろうか、と。それをぺろりと一嘗めなのですから、贅沢なことをしているものです。

【ただいま読書中】『宇宙災害 ──太陽と共に生きるということ』片岡龍峰 著、 化学同人、2016年、1500円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4759816720/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4759816720&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=c9f6ac07f8c98a2a3de252f307e34076
 地球は宇宙から攻撃を受けています。攻撃してくるのは「3つの槍」。対する防御手段は「3つの盾」。
 最初の「槍」は「宇宙塵」。地球には毎日100トンの宇宙塵が降り注ぎ続けています。それが成層圏をゆっくりと降下すると、日光を遮る効果が出ます。第二の槍は紫外線。オゾン層があるから生物は守られていますが、もしオゾン層がなくなったらDNAの破壊があちこちで起きることになります。最後の槍は宇宙線です。太陽フレアの活動で陽子線やX線が大量に発生するとそれによって電離層が影響を受け、世界的に通信やGPSの利用が障害されることがあります。また「太陽プロトン(太陽からの陽子)」は中間層の大気を電離して窒素酸化物(NOx)を作りますが、これが成層圏のオゾンを破壊しています。また宇宙線は、宇宙飛行士を被爆させています。人体だけではなくて太陽電池も宇宙放射線によって劣化してしまいます。
 そういった「槍」に対する「盾」の最初は「大気」です。太陽の紫外線やX線を吸収してくれています(そのかわり温まっています)。二番目の盾は地磁気。これによって太陽風は地球を避けて流れていきます。ところがこの太陽風自体は三番目の盾として働いています。プラズマの流れが太陽の周囲にバリアーを形成し、銀河宇宙線をやわらげているのです。
 こういった「槍と盾」の攻防戦は「宇宙天気予報」である程度読むことができます。ただそのためには、たとえばプラズマ物理学の理論の構築と、実際に宇宙空間に行ってその理論を実証することとが必要です。さらに、宇宙からの攻撃によって、大絶滅が起きる可能性はどうか、という研究を著者はしているそうです。大量の宇宙塵によって地球が覆われると寒冷化が起きますが、同時に巨大分子雲によって太陽風シールドが弱まり地表に到達する宇宙線の量が増えます。また、地磁気は不定期に反転しますが、そのとき1000年くらい(宇宙線を逸らしている)地磁気が現在の1割くらいに弱まります。すると上記の二つがたまたま重なったら、大量絶滅が起きるのではないでしょうか。
 超新星爆発の衝撃波が地球を直撃すると、現在の銀河宇宙線の1万倍の線量を被爆することになります。これまた地球上はひどいことになりそうです。
 宇宙災害の発生を、人類は防ぐことはできません。しかし、なぜ自分たちがひどい目に遭うのか、そのメカニズムは知っておきたいものです。パスカルではありませんが、自分が宇宙に殺されるのだとしても、自分が死ぬことはちゃんと知っておきたい。


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