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2017年01月09日14:31

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生息地

 アリは世界中に生息していますが、イヌイットの生息地では珍しいそうです。さすがに氷に穴を掘るのは難しいのでしょう。ということは、人間はアリさえ住めないところでも生息地にできる、ということで、サバイバル力は抜群な生物、と言えそうです。

【ただいま読書中】『アリたちとの大冒険 ──愛しのスーパーアリを追い求めて』マーク・W・モフェット 著、 山岡亮平・秋野順次 監訳、 化学同人、2013年、3200円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4759815651/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4759815651&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 学位取得のために論文を書くため、インドやシンガポールで、略奪アリの狩りの様子を著者は熱心に追いました。そこで撮った写真でのアリの姿が素晴らしかったため、著者はナショナルジオグラフィック誌の記者の訪問を受けます。略奪アリの働きアリは「労働分業」をしていました。小型のものが“最前線”に大量に投入され、多くの犠牲を払いますが獲物に群がって動きを封じます。そこに中型または大型の働きアリがやって来てとどめを刺します。これは昔の(ローマ〜中世の)戦法と共通しています。最前線に大量に投入するのは“コストの安い農民”で、“コストの高い職業軍人”はあとから投入されていたのです。
 アフリカの軍隊アリはどう猛です。著者はその群れに襲われたことがありますが、噛まれるととても痛いそうです。もし指に噛みつかれたら一番良いのはその指をくわえてアリの頭をかみつぶすこと。そうしたらアリの顎はすぐ外れるそうです。ちなみに、アリの大きさは市販の清涼ミントほどで、歯ごたえはカリカリしていて、ほのかにナッツと蟻酸の風味を感じるそうです。軍隊アリは群れで狩りをします。数万個体が集団で獲物に襲いかかるのです。するとその中で“仕事にあぶれたアリ”も出現します。彼らの存在意義は?と著者は観察と思考を重ねます。
 アリは地上と地下にだけいるわけではありません。アフリカツムギアリは“中空”で狩りをします。たとえばサスライアリの行列に対して、木の葉に後ろ足でしっかり身体を固定して上からサスライアリの個体を釣り上げます。ツムギアリの巣は樹上にありますがその製造法はユニークです。働き蟻が幼虫をつかむと幼虫は糸を分泌します。その糸で葉を綴っていくことで巣を作るのです。ツムギアリもグループで狩りをします。本書には自分の身体の何十倍かのサソリを集団で輸送している写真がありますし、著者がカメルーンで観察したコロニーには、トカゲ・ヘビ・コウモリ・トリの残骸があったそうです。脊椎動物もアリの獲物なんですね。
 奴隷狩りをするアマゾンアリ、園芸家として名高いハキリアリ、世界中に侵略しているアルゼンチンアリも豊富は写真とともに詳しく紹介されています。こうなると、我が家の近くにいる「普通のアリ」についても少し詳しく知りたくなりました。彼らの生態にもそれなりの特徴があるはずですから。


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