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2016年12月03日06:46

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必要なリストラ

 企業が赤字になったとき、真にリストラされるべきは、高給を取ってそんな事態を企業にもたらした重役たちでしょう。

【ただいま読書中】『ヨハネスブルグの天使たち』宮内悠介 著、 早川書房、2013年、1500円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4150312001/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4150312001&linkCode=as2&tag=m0kada-22
目次:「ヨハネスブルグの天使たち」「ロワーサイドの幽霊たち」「ジャララバードの兵士たち」「ハドラマウトの道化たち」「北東京の子供たち」

 最初の「数千体の少女型のアンドロイドが毎日毎日、1秒に1体の割合でビルのてっぺんから地面に次々降り続ける『夕立』」という仰天のシーンには驚かされます。一応「落下試験」だ、という名目はあるのですが、いくらなんでも“衝撃的”すぎるでしょう。
 連作短編の舞台は、近未来の、南アフリカ、ニューヨーク、アフガン、イエメン、そして東京。
 状況は「戦争」です。世界は泥沼化した暴力によってゆるやかに解体し続けています。
 そして、共通して登場するのは、日本が製造したアンドロイド「DX9」。少女型で、本来はホビー用ですが(通称「歌姫」)、あまりに性能が高いため、無人兵器の代用品としてゲリラに愛用されています。なにしろ、恐ろしく安いのに攻撃力は無人兵器なみなのですから。小柄な人形がチャドリ(ヒジャーブ)をかぶっていたら人間に見えますし、スピードは人間より速く行動は機械のように(というか機械そのものの)正確なのですから、自爆兵器としては最強です。
 「歌姫」と呼ばれるのにずっと歌を歌わなかったDX9が、最後に歌を歌い始めます。そして、東京ではまたもやDX9は落下し続け、子供たちはそれぞれの“戦争”を戦っていました。
 なんだかとっても“暗い”近未来の物語です。もしも私たちがそのように選択をしたら「この近未来」は現実になるのかもしれない、と薄気味悪く感じてしまいました。どうかそんなことにはなりませんように。願うだけではなくて、私たちがそうではない選択ができますように。


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