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2016年04月26日06:47

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タイミングの善し悪し

 熊本地震のことを「大変タイミングのいい地震」と嬉しそうに述べた政治家がいましたが、そのせいかどうか京都補選で負けた政党の人間は「大変タイミングの悪い発言」と思ったことでしょう。しかし、地震は人のタイミングなんかお構いなしに起こるものですし、政治家の発言はタイミングだけではなくてその内容(特に人に対する基本姿勢)も重要なのではないでしょうか。

【ただいま読書中】『スパム〔spam〕 ──インターネットのダークサイド』フィン・ブラントン 著、 松浦俊輔 訳、 河出書房新社、2015年、2400円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/430924744X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=430924744X&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 本書では「時代」を「1971-1994」「1995-2003」「2003-2010」に三区分しています。それは「コミュニティー」の変質による区分で、コミュニティーが変わることでスパムもその姿を変えてきたのです。
 第一期は「制約」で始まりました。画面に表示できるのは文字だけ、それも最初は大文字だけ。一文字削除、といった「編集」をするのにも手間が必要でした。また、コミュニティーはとても小さく閉鎖的で、だからこそ何もかも“オープン”に進めることができました。そこですでに「ゲームの中のスパム」「ジャンクメール」が発生しています。そして1978年5月1日「最初のスパム(の原形)」がARPANET上の593件のアドレス宛に発送されます。内容は「DECの新型コンピューターの宣伝」でした。議論が起きますが、「個人の迷惑」といった話ではなくて「政府が金を出したARPANETで宣伝が許されるのか?」という話でした。しかし、話はやがて「特定のネット」だけのものではなくなります。1994年4月12日、当時活動中だった6000のニュースグループのユーザーは全員「グリーンカード抽選──これが最後?」と題するメッセージを受け取りました。移民を扱う法律家カンターとシーゲルの「(史上初の本格的な)スパム」でした。人々はまず「意味のある告知」としてメッセージを読み、確認をし、そしてそれがただの宣伝であることを知ると反撃を始めました。抗議メールの山、抗議の電話、抗議のファックス……しかしカンターとシーゲルはめげませんでした。自分たちがしたことは違法ではない、と。彼らの主張は、「先住民が住んでいる土地」であっても、そこをフロンティアとして“開拓”することは「正義の行為」だ、と言っているかのようです。
 私がネットに接続するようになったのは、この第一期の末期の頃のことです。
 そして第二期。スパムメールが「ビジネス」としてはびこっていました。それに対する「反スパム運動」は、(スパムを流す人間の個人情報をネットに流出させる、といった)派手な動きはありましたが、実効的な対策としては機能するものはあまりありませんでした。そこで、反スパムコミュニティーの“中心地”として「NANAE」が誕生します。多くの人がスパムを分析、投稿者を特定し、あとは合法的な手段に訴える、というやり方を採る「コミュニティー」です。問題は法令が国ごとに異なることですが。Googleは「ロボットはだませても人間はだませないスパム」を除去するためのシステムを開発しました。そこでスパム業者は次の手を考え出します。いたちごっこです。
 そして第三期が到来します。スパムは科学的分析の対象となります。その成果はスパムフィルターに実装されます。目的は、スパム業者を罰することではなくて、その利益を減らすこと。いくらスパム送信が低コストで済むとは言ってもやはりいくらかのコストはかかります。そこでフィルターが上手く機能することでスパムへの返信が劇的に減少したら、業者の利益は減ることになり、そうすれば「ペイしない行為」をする人間は減るはずです。穏やかだが、実効性のある手段です。そこでスパムはさらに進化します。なんだか、人工知性がチューリングテストをパスするために必死に努力をしている、といった感じです。さらに、ワーム、ボット、マルウェアなどによって、ユーザー(とその人が属するコミュニティー)が被る損害はどんどん大きくなってきています。さらに、スパムの軍事利用という剣呑な話題も登場しますし、身近なところでは犯罪システムのスパムも。スパムには「様々な顔」があります。スパムメールにだけ気をつけていれば良い、というものではなくなっているのですが……では、素人のユーザーは一体何にどう気をつけたら良いのでしょう?


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