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2016年04月17日06:26

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被害の大きさと災害の大きさ

 自然災害の後に「死者○○人、倒壊家屋××棟」などと「数字」が発表されます。もちろんその数字は「被害の大きさ」を示しているわけですが、それが直接に「自然災害の大きさ」を示していないことに注意する必要があります。極端なことを言ったら、どんな大地震でも無人の地域を襲ったら「死者ゼロ」になるわけで、だったら究極の防災は「人類絶滅」になる……わけはありません。
 「このまま対策を取らなかったら」の被害想定をまず厳密に計算し、次に対策を取り、そして実際に災害が起きたら現実に生じた被害と想定との差を見ることで対策の質を評価する、これを繰り返すことで防災は進歩していくはずです。「1万人も死んだ、大変だ」「100人しか死ななかった。だったらどうでもいいや」だったら、「対策の一番大切な部分」が下手すると進歩しない可能性があります。

【ただいま読書中】『南海トラフ地震』山岡耕春 著、 岩波書店(岩波新書1587)、2016年、780円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004315875/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4004315875&linkCode=as2&tag=m0kada-22
 海洋プレートが大陸プレートに潜り込む場所で、角度が急峻で非常に深くなっている場所が「海溝」、なだらかな場所が「トラフ」と呼ばれます。日本近辺には、日本海溝や南海トラフがあります。南海トラフは、御前崎のすぐ南側から足摺岬の沖合に横たわっています。紀伊半島の先端、潮岬を境界として、それより東側で地震が起きると東海地震あるいは東南海地震、西側で起きると南海地震と呼ばれますが、この両者は同時あるいは(数時間〜数年以内に)連動して起きることが知られています。
 南海トラフ地震に特徴的なのは、津波の到達時間が短いことです。静岡〜高知の多くの場所で地震発生から10分、場所によっては3分で津波がやって来ます。揺れている間に避難を開始しないと間に合わないことがあるのです。この津波で著者が重視するのが「30cm」と「2m」。30cmの津波でも人は足をすくわれます。転んだらもう流されてしまいます。2mは木造住宅が被害を受ける津波の深さです。ハザードマップで浸水深が2mの地域の人は、木造住宅は浮き上がって流されることを覚悟しておく必要があります。
 1707年(宝永四年)の宝永地震(南海トラフ地震では史上最大のもの)から49日後に富士山が噴火しました。次の南海トラフ地震でも富士山が連動して噴火する可能性はどのくらいあるのでしょう。ちょっと気になります。


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