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2014年11月28日07:06

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言論の自由

 ネットでの発言を見ていると、発言者を二つに分けたくなります。一つは「自分に反論する人がいるとは思ってもいない人」。もう一つは「反論があることを予想(予定)している人」。前者は“論外”だとは思いますが、でもけっこう多いのは意外です。後者はさらにいくつかの類型に分けられます。「どんな反論があっても無視する」「無視はしないが持論に固執する」「柔軟に話し合おうとする」「適当にいなす」……様々なタイプがあります。
 さらに「反論をする側」も「とにかくいちゃもんをつけたい」「自分は正しいのだからお前はすぐ謝るべきだ」「俺の方がエライ」「相手と楽しく議論をしたい」……実にBF様々なタイプがあります。
 さて、こういった中で「炎上しない組み合わせ」はどのくらいありますか?

【ただいま読書中】『マインドストーム ──子供、コンピューター、そして強力なアイデア』S・パパート 著、 奥村貴世子 訳、 未来社、1982年、2800円
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4624400437/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4624400437&link_code=as3&tag=m0kada-22
 アメリカ人にフランス語を教える場合、成人よりは子供の方が覚えが良い、と本書は始まります。さらにアメリカで教えるよりはフランスで教える方が、はるかにフランス語の能力は向上する、と。ならばコンピューターの言語を教えるのも同様ではないか?と著者は話を進めます。
 本書が出版された1982年と言えば、ファミコンが発売される前、パソコンのCPUはまだ8ビットが主流で16ビットが普及を始めていて、オフィスコンピューターやスーパーコンピューターで16ビットとか32ビットと言っていた時代だったように私は記憶しています。著者は、「フランス語」が学習の目的ではなくて何かを人生で達成するための手段であるのと同様に、コンピューター言語を子供たちが学ぶことによって人生で様々な事柄を達成できるようになって欲しい、と願っています。著者が望むのは、「子供をプログラムするコンピューター」ではなくて「コンピューターをプログラムする子供」です。
 著者が夢見るのは、たとえば子供がワードプロセッサーを使って作文をすることです。多くの子供にとって作文は“ハードル”が高く、一度書いたらできた文章を推敲する前に力尽きてしまいます。だから気楽に“ワープロ”でとりあえず初稿を書いてしまって、気楽にがんがん修正していけば良い、それによって子供は作文が好きになる、という論法です。ここで著者が重視するのは「作文」が「自分を表現すること」であり「楽しみ」であることです。さらに著者は「数学」と「言語」の分断を何とかしたいと考えます。生きた言語から毎日勝手に子供は学んで語彙を豊かにしますが、学校の数学(算数)は「死んだ言語」でしかない、と。それでは子供は「学ぶもの」と「自分」との関係を断ち切ってしまいます。
 そこで登場するのが「タートル幾何学」(計算的な幾何の様式)です。床に置かれたタートル(機械仕掛けの亀)も画面上のタートルも、プログラムの命令に従って動きます。最初に使える命令は「前進」「後進」「右を向く」「左を向く」。あとは数字を適当に入れると、進む距離や回転の角度が指示できますが、子供たちは自分でそれを発見しなければなりません。四角や三角を描けるようになると子供は「円はどうやって描くの?」と疑問を持ちます。教師は教えません。子供は仮説をいくつも立て試行錯誤をしますが、その過程で「微分方程式」の概念に触れていくのだそうです。
 そこで重要なのは「バグ出し」です。「バグがあること」は「罪」ではなくて「当然の現象」です。文章を書くときだって初稿から完全稿ということはありません。何度も推敲をして“バグ出し”をしていきます。それと同様、プログラムも何回も試してバグ出しをしていくだけのことです。バグは「あってはならないもの」ではなくて、「子供の成長の糧」なのです。試験で間違えることが“悪”である世界で育った私にとって、これは“異世界の概念”に思えます。ただ、こういう態度だったら、創造的な子供が育つような気はします。
 かつて「玩具のロゴで組み立てた“ロボット”をプログラムして動かすことができる」と聞いたときには本当に驚きましたが、その頃には仕事が死ぬほど忙しかったので驚くだけですませてしまってそのまま忘れてしまいました。今にして思うと、もったいなかったなあ。本書は「コンピューター言語についても触れている思想書」と言っても良い内容です。特にピアジェの影響が濃いのが、読んでいて意外でした。非常に先見的な内容が含まれていて、30年前の本なのにまだ古びてはいません。というか、本書で提案された「子供の教育」はまだ達成されていないように私には思えます。


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