もう天然の国産サケは食べられなくなるかもしれない。
北海道東部の漁港で、本来なら秋サケ漁で賑わうのに(写真)、今季は、いや今季もと言うべきか、サケの水揚げはほとんど無くなっている。例えばオホーツク海に面した網走港では、沖から帰ってきた漁船にサケの姿はほとんど無いという。
◎北海道の河川への回遊は激減
今年の道内漁獲量は、前年比で半減、その前年に当たる2025年は、その前の年の7割減だった。
原因は、はっきりしている。海洋の温暖化で、冷たい水を好むサケの回遊ルートが大きく北に変わったからだ。代わって暖かい海を好むブリなどが網にかかるようになっている。
サケの資源量そのものも、激減している。例えば秋に道内各河川に回帰してくるサケの漁獲量も激減している。今年の全道の回帰数予測は、前年比53.1%、数にして約364.5万尾で、ピーク時の04年前後の6000万尾超と比べて、6%と激減だ。
回帰数が少ないから、帰ってきたメスから採卵し、人工授精して放流する数も減る。今やどこの孵化放流場も、卵の確保に四苦八苦している。卵から稚魚までの生存率は、自然界の1〜2割から、技術革新で8〜9割に高めて焼け石に水だ(写真=採卵と人工授精)。
サケの不漁は、僕たちもイクラの高騰で身近に体験している。高騰が顕著になったのは、25年からだが、今では一時期の3〜4倍にもなっている。
◎遡上するサケを捕っていたヒグマにとって生死の問題
そして北海道の川からサケが消えたことで致命的な痛手を受けているのが、ヒグマだ。秋には川に回帰してくるたっぷりと卵を持ったサケを待ち構え、好きなだけ捕獲して栄養を蓄え冬眠に入る。そのサケが川から消えたのだから、ヒグマにとって生き死にの問題だ。
以前、ヒグマの個体密度が道内最大の知床半島でのヒグマの四季を追った番組をBSで観た。25年秋にサケがのぼらないことに困惑したヒグマたちは、別の川を渡り歩いたり、あるいは浜辺に出て、浜に打ち上げられた小魚やトド、イルカなどの海獣の死骸を漁り、危険な崖上によじ登って海鳥のヒナや卵を獲っていた(写真=海鳥の卵を捕ろうと、岩をよじ登った痩せきったヒグマ)。
むろん冬眠のための栄養蓄積には全然足りない。何とか冬は持ちこたえても、メスグマは出産もできないだろう。サケに頼っていた道東のヒグマは、大幅な個体数減少は避けられない。
◎森への栄養分還元が途切れ北海道1万年の文化史も途絶えるか
秋サケをヒグマが食べられないのは、森への海の栄養分の循環が途切れることでもある。ヒグマは捕ったサケを全部食べるわけではなく、特に骨は残す。窒素、カルシウムなどが森林に供給されなくなるから森にも影響が及ぶかもしれないのだ。
北海道の秋サケは、先史時代からアイヌ、擦文、オホーツク文化、縄文の先住民たちが恵みを受けてきた(写真=縄文時代の竪穴住居址とそこから出土したサケの歯)。サケ漁は、約1万年の文化伝統がある。それが途絶えるとしたら、それもまた悲しい。
追記:米中間選挙で共和党大敗
トランプの共和党は歴史的大敗を喫した。世論調査の事前予測では、下院は民主党が勝利するもののその差は大きくはなく上院は拮抗、とされていた。
しかし蓋を開ければ、共和党は完膚なき大敗だった。まだ議席はすべて確定していないが、民主は下院で共和に大差をつけ、上院でも10議席以上の差をつけて過半数を確保した。トランプの権威主義的支配が、アメリカ国民の健全な民主主義感によって拒否された。
詳しい解説は、明日にまた。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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昨年の今日の日記:「先史時代の北米大平原を席巻した3種のバイソンの物語(2):更新世最末期に姿を消したムカシバイソン」
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