トースターを焦がしたくらいで泣きそうな朝のバターの匂いのなかで #短歌
パジャマへと着替えるたびにやわらかい夜の名前を思い出してる #短歌
遠くの街で青いインクが滲むようにおもうきみのひかりを #短歌
終電の まどに映る自分の顔のままでどこまでいけるだろうか #短歌
信じたい場所でふたりは手をつなぎあしたの切符を買う改札 #短歌
遅刻しそうと走っているときだけは人類の代表になれる #短歌
パンの耳をポケットにしのばせてただまっすぐにおもう あしたを #短歌
カレーの匂いをさせながら坂道をのぼる背中とすれ違う午後 #短歌
あたたかな光のなかに投げ出され誰もいないとこで息をする #短歌
コンビニの湯気の向こうで肉まんが今日くらい笑おうよってふくらむ #短歌
波打ち際いつだって少し冷たくてなみだの形の言葉を拾う #短歌
手のひらに残る重さはあの日の途切れた言葉と空き缶の熱 #短歌
寄せてくるもの全部をただ受けとめる 君の背中にジュースをあげる #短歌
夜のなか首をすくめて遠くからきみと見上げるおんなじ星座 #短歌
首長竜が星を食べてるその下で終電を待つぼくの首すじ #短歌
まだここに生きているのにアルバムの中に閉じ込められたみたいな #短歌
思い出にされるにはまだ早いからきみの未来にわたしを置いて #短歌
小さなスタンプのかわり 今日の日を祝うみたいに花を並べる #短歌
主役はあなたじゃないのについ買ってしまった赤がうれしい #短歌
街のなかお祝いする気持ちだけ連れて歩いて赤い靴下 #短歌
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