帰る場所があるから空は青くてあたたかい匙の音が聞こえる #短歌
許さないあなたの首を絞めるように水筒の蓋をきつく閉める夜 短歌
耳たぶにそっと硬い針を刺す きらきら光る傷みを連れて #短歌
定価のままでレジを通したときめきを胸に夜道を歩いて帰る #短歌
コンビニの灯りを少し持ち帰る 折り目のなかに夜が残って #短歌
いいよ地獄で。ビールさえあればあとのことは死んでから考えよう #短歌
玄関に脱いだ一足見ていると帰ってきた日が積もってゆく #短歌
自動ドアが開いた瞬間にビニール傘が鳥に変わる夜 #短歌
あるいは神様がつくった秘密の穴から僕らは空をのぞこう 短歌
朝ごはん食べたかどうか忘れたが雲を塗ったことだけ覚えてる #短歌
喉を通らない言葉のかわりに土に祈りを埋めにいく午後 #短歌
光る鱗が窓辺をかすめて海のない街に雨が振りだす 短歌
ベランダの鉢に降る雨それぞれの名前を持たぬ粒のままでいる #短歌
終電に近い電車はなぜだろう 人生相談みたいな顔だ #短歌
爪を切るほんの数分そばにいてそれだけなのに君を独占 #短歌
冷たい窓ガラスに触れた手のひらの熱がゆっくり消えていく夜 #短歌
雷鳴のあとに残ったアオゾラペダル羽化するように脱ぎ捨てる影 #短歌
消えたいと言ったんじゃなく消したいと言いたかったんだ たぶんそれだけ #短歌
深爪の指から星がこぼれだす 君を考えるよるだけ長い #短歌
夜風へと言葉を返すそのたびにいない人程近くなる夜 #短歌
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