漢字って誰が決めたの 夕焼けはまだ訂正がきく色だった #短歌
直しても直してもまた僕になる それでいいかと思う夕方 #短歌
人波にまぎれていても手を振ればちゃんとひとりへ届く夕暮れ #短歌
窓際に熟れたトマトの赤があり黙る時間もちゃんと会話だ #短歌
見知らぬ誰かの体温が染み込んだ湿るベンチのなかに溶けゆく #短歌
まともなふりをするのにもう疲れたから僕の形を忘れてほしい #短歌
溶けてゆくさくらんぼにも体温があると信じて午後を食べてる #短歌
水たまり跳ねたしぶきのひと粒が夏の終わりの星みたいだね #短歌
どこにでもいそうということのなかに代替不可能な午後がある #短歌
スイカの種を飛ばしたあとの静けさに大きな雲がゆっくり浮かぶ #短歌
最後の晩餐みたいですけどお代わりできますか はいできます #短歌
夕焼けが皮をむくようほどけゆき 風の匂いが甘くなるころ #短歌
黒板に残った白い粉のよう 希望は午後も舞っているから #短歌
スプーンで掬う夕立色のアイスから明日へ向かえる気持ちになるね 短歌
レジ袋ひらけば海の音がしてだれも知らない夕飯になる #短歌
痛いほど私を刻み込んでほしい滲んだ赤い血を舐めとって #短歌
触れないでおこうと決めた指先に小鳥みたいな風がとまった #短歌
ベランダに風鈴だけが知っている 夏の終わりの息のやさしさ #短歌
イヤフォンを外した耳に夕暮れの風があなたを真似して通る #短歌
窓際のレースを揺らす夕凪にまだ現在形の猫が眠れる #短歌
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