またここか歩いても駅の入口にぼくの足跡ばかりが積もる #短歌
違う神さまが運んでくる季節 あなたはそれを手渡して私を救う #短歌
歌声が海のように満ちる あなたは遠く それでも確かに触れていた #短歌
レジ横の募金箱には午後の雨 硬貨ひとつの音だけ響く #短歌
白い皿ふたつ並んで空っぽであなたは誰か ぼくはわたしだ #短歌
この星の人口から僕を引く 計算式はまだ完成しない #短歌
大丈夫と言うほどでもないけれどお茶はちゃんと熱いので飲む #短歌
つなぎ目のない夜を広げて埋め立てられた
海とわたしの約束 #短歌
あふれ出る明日を足で閉じ込めて今日という名の魔法を溶かす #短歌
スキップのボタンが咲くまでのあいだ 指の体温だけ夏になってた #短歌
あと5秒 その5秒にも広告がありぼくにも5秒ぶんの人生がある #短歌
世界中の「あと少しです」が集まって一曲分の沈黙になる #短歌
鍵盤の白へ白へと降りてくる知らない誰かの好きだった歌 #短歌
改札を抜けてもまだ鳴っている今日という譜面の最後の小節 #短歌
揺れるたび遠くへ行ける気がしてた あなたを思い出すための高架下 #短歌
洗濯の終わったあとのベランダで虫の気配と並んで涼む #短歌
「美味しい」おあとから言えばすべて良しフォークの上の小さな恋は #短歌
存在しない部署の電話が鳴っていてぼくは今日も出られないまま #短歌
ドアは閉まる 振り返るなよ 飛ぶときのあの気持ちだけあればいいんだ #短歌
ベンチには雨が座っているようだ 誰もいないのに重たい気配 #短歌
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