灯りひとつで言い訳みたいに見える白い皿だけ静かに受けとめる #短歌
風鈴の鳴らない午後を抱きながら青はゆっくり窓辺へ満ちる #短歌
パンジーの影をまたいで歩く午後わたしの影も花になりたい #短歌
大丈夫おんなじリズムでいちごジャム煮ているところ おだやかこころ #短歌
うまく描こうとしてやめた跡がある そんな手紙が一番こわい #短歌
端っこに小さく棲んでるその影はきみが本当に言いたかったこと #短歌
分け合うはずの相手もいない 冷めきった弁当箱の蓋をあければ #短歌
正しく生きたいけれど割った先にあるのはいつもぼやけた未来 #短歌
割れ残った孤独の破片 それが僕の正しさだと言い聞かせてる #短歌
逆さまがほんとに向きという理屈 スプーンにだけは適用している #短歌
あしたはねふたりでぜんぶ忘れよう 大きなパンにバターぬるみたいに #短歌
泡という境界線を越えるたび身体は少し言葉を失う #短歌
「さよなら」を先に言えたら勝ちなのか蛇口の音がずっとずっと答えない #短歌
電話越し眠たげな声 きみのこと話せば夢のつづきになれそう #短歌
まどろみのなかで呼んでいる いないのに私の名前を呼ぶはずの人 #短歌
ややこしさごと受け取る夜でいい光はどれもひとつに見える #短歌
眠る手を起こさないよう窓を閉め夜のやわらかさ分けあっている #短歌
代入を禁じられても夕焼けは変数のままで赤く続いた #短歌
鍵をかけ部屋の静けさ満ちるたびあなたの冗談だけ灯ってる #短歌
袋詰めするその手際よさ君と僕の距離もそのくらい簡単なら #短歌
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