mixiユーザー(id:2083345)

2026年05月11日23:21

309 view

5/6 拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ@東京オペラシティアートギャラリー

怒涛のGW、ギャラリー巡りは、猫のすゝめ、ブーダン、ルオーと続いた。
最終日のこの日は、我が家から一番近いオペラシティを選ぶ。

シュルレアリスムはその理論がちと難しいが、見るのは楽しい。とんでもない取り合わせの非現実感、意味があるんだかないんだかのナンセンスさ、引き摺り込まれる不可思議さ。その楽しさがわかればシュルレアリスムの術中にハマったと言っていいだろう。私なんぞは、それだけでよしとしよう。


この展覧会のすごいのは、展示作品全てが国内の所蔵だってこと。しかも名品揃い。
マン・レイ、デュシャン、ピカビア、ダリ、オッペンハイム、キリコ、エルンスト、イヴ・タンギー、ミロ、ポール・デルヴォー等々。まるでシュルレアリスムの教科書。日本にこんなにシュルレアリスム作品が溢れていたとは!


特に、ルネ・マグリットの代表的アイテム「山高帽の男」が登場する《王様の美術館》(横浜美術館蔵)と《レディ・メイドの花束》(大阪中之島美術館蔵)が背中合わせに同時展示。思った以上に大きな作品に圧倒された。
フォト

フォト

フォト

それだけではない。シュルレアリスムは芸術の内部にとどまることなく、雑誌や広告、ファッション、室内デザインといった日常に密接した場面にも広がっていき、社会全体に影響をもたらしたという。

会場では、サルバドール・ダリとルイス・ブニュエル監督が協力して制作した映画《アンダルシアの犬》も上映されている。非合理、不可思議な映像が畳み掛けるように流れて一度見たら忘れられない映画なので今回はパス(笑)
「拡大する…」という点では、広告ポスターになるほどと思ったし、特にファッション展示は見応えがあった(後述)。

半分ほど撮影不可の作品があり、ポール・デルヴォーは全て不可。
アルバムあります。
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121436421&owner_id=2083345

そこそこ人は入っていたが、観覧するにストレスはない程度。
前後期で32点ほど(資料も含む)の入れ替えがある(前期は5月17日まで)

併設の寺田コレクション展「幻想の景色と不思議ないきものたち」も面白く、別の日記で紹介したい。

https://www.operacity.jp/ag/exh297/
フォト

シュルレアリスム(超現実主義)とは、理性によって分断された世界を乗り越え、新しい現実を求めようとする芸術運動です。1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけ、無意識や夢に着目したフロイトの精神分析学に影響を受けた文学運動として発生しました。どこか違和感がある風景や夢の中のような幻想的雰囲気など、シュルレアリスムの表現に一定の傾向を見出すことも可能ですが、シュルレアリスムとは表現の様式をいうものではなく、世界の変革をめざすことを共通の精神とした、あらゆる創造行為をさしています。そして、「日常を変える」ことと「世界を変える」ことをひと続きに捉えていたシュルレアリスムは、芸術の内部にとどまることなく、雑誌や広告、ファッション、室内デザインといった日常に密接した場面にも広がっていき、社会全体に影響をもたらしました。
シュルレアリスムが提示した新たな視覚表現とその広範な影響は、誕生から約100年を経た現代においてもなお新鮮な驚きとともに受けとめられています。本展覧会は国内に所蔵されている多様なジャンルの優品を一堂に集め、社会全体へと拡大した新しいシュルレアリスム像を示します。



第1章 オブジェー「客観」と「超現実」の関係
シュルレアリスムを日本語訳すると「超現実主義」となり、現実ではない=非現実的な事象として認識されることが多い。が、シュルレアリスムが目指すのは、「主体」を離れて「客体」に至ろうということ。つまり、私たちが普段認識する現実は、主体から見つめた姿であって、客体として認識した時に初めて立ち現れるのが超現実という考え。それを視覚化したのが超現実芸術、わかりやすいのがオブジェで、例えば、マルセル・デュシャン《帽子掛け》
フォト

帽子を掛けるものという機能を奪った時初めて、人間の主観を離れた単なる物体(=オブジェ・客体)として成立するのである。確かにね、帽子掛けがこのように吊るされていたら、まして影を見たら、それはすでに帽子掛けではないわけで。

フランシス・ピカビア《黄あげは》
フォト


第2章 写真ー変容するイメージ
19世紀前半に誕生した写真技術は、モチーフや光景をそのまま写すという本来の役割を遥かに超えて、マン・レイの「レイヨグラフ」「ソラリゼーション」などの技法やネガ・ポジを入り交ぜたり、被写体を合成したりなどの多彩な手法で、被写体である日常的なモチーフを謎めいたイメージと変容させた。

ヘルベルト・バイヤー《セルフ・ポートレイト》
フォト

ピエール・ブーシェ《モロッコの風景の中にコラージュされたヌード(アトラス山脈南部)》
フォト

マン・レイ《レイヨグラフ》
フォト


第3章 絵画ー視覚芸術の新たな扉
1928年、アンドレ・ブルトンはシュルレアリスムの思想と視覚芸術の親和性を「シュルレアリスムと絵画」という著書で説く。

夢は現実の意味世界から解放された、通常では抑圧されている無意識の世界である。そこで、シュルレアリストは目覚めながらにして無意識に到達する様々な方法を編み出す。それが自動書記(オートマティズム)であり、脈絡のないものをつなぎあわせるコラージュ、半分に折った紙の片面を塗って貼り合わせるデカルコマニー、物の表面に紙を置いて上からクロッキーなどで擦りつけるフロッタージュなどである。わかるような、わからないような、だが、考えるより実際の絵画を見ていくと理解が得られる。

アンドレ・マッソン《デッサン・オブ・オートマティック》
いわゆる自動筆記というものだが、私としてはオカルト寄りになるところがどうしても好きになれないところ。
フォト

アンドレ・ブルトン、イヴ・タンギー、ヴァランティーヌ・ユゴー、ジャネット・タンギー《甘美な死骸》
4人のシュルレアシストの集団実験
フォト

マックスエルンスト《「カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢》より》
フォト

ジョルジオ・デ・キリコ《福音書的な静物�機�
デ・キリコの芸術は、ダダやシュルレアリスムに大きな影響を与えたが、本人は運動には参加しなかった。
フォト

マックス・エルンスト《偶像》
抑圧された意識下の世界を描く
フォト

イヴ・タンギー《失われた鐘》
フォト

サルバドール・ダリ《幽霊と幻影》
ダリは、1934年ブルトンと決裂し、シュルレアリスムと距離を置く。
フォト

フォト


特集展示「装丁」ーシュルレアリスムの本棚へ

トワイヤン、ジャン=ピエール・デュプレ(著)、アンドレ・ブルトン(序文)《冒涜の森、その他のテクスト》
発泡スチロールの箱がすてき
フォト

フォト

マルセル・デュシャン《トランクの中の箱》
「持ち運べる美術館」ということらしい
フォト

マックス・エルンスト《65マクシミリアーナあるいは天文学の非合法的行使》
本のタイトルに意味もわからないし、中身もわからないが、暗号?象形文字?モンゴル語?楽しい。
フォト

これも
フォト

あれも
フォト


第4章 広告ー「機能」する構成
シュルレアリスムは、芸術にとどまらず、広告にも幅広く用いられたという。特にファッション誌における表現の主流となった。
シュルレアリスムの手法「デペイズマン(転置)」や「コラージュ」は「本来あるべき場所にないものを出会わせて違和を生じさせる」もので、それこそがインパクトのある商品広告を作れるってことね。
サルバドール・ダリが手がけたフランス国有鉄道のポスターなど。
フォト

アドルフ・ムーロン・カッサンドル表紙の「ハーパース・バザー」誌
フォト


第5章 ファッションー欲望の喚起
ファッションは、シュルレアリスト達が身体、特に女性の身体に抱く性的欲望の意味をはらみつつも、シュルレアリスムのインスピレーション源として切っても切れない関係にあった。
そのなかで、ココ・シャネルとライバルであったエルザ・スキャパレッリのドレスやアクセサリーが目を引いた。
高級なオートクチュールのイヴニング・ドレスの柄は、マッチ棒だったり、雲や気球や円柱だったり。
フォト

フォト

フォト

また、ヒトラーが独国防軍を掌握した日には、戦争へ向かう不安の反動としてサーカス・コレクションを発表。シュルレアリスムは、体制への反抗精神も備えていたのね。ヒトラーはシュルレアリスムを「退廃芸術」として嫌ったんだった。
フォト

フォト


第6章 インテリアー室内空間の変容

違和感や狂気を引き起こし現実に揺さぶりをかけるシュルレアリストは、生活の場である室内に奇妙なオブジェを置き、日常の安定を転覆させることにも大きな意味を見出している。映画《アンダルシアの犬》がまさしくそれ。
モチーフに、木の模様や雲の形、貝殻や石など自然の有機的なものを選んだのは、背景に戦争があり、合理主義や機械的ユートピアへの反発であったのだろう、と。

スタジオ65《ソファ「ボッカ」》
マリリン・モンローの唇がモデル。シュルレアリスムの奇抜なデザインは1960年ごろにはポストモダンのデザインへと引き継がれた。
フォト

ヴィクトル・ブローネル《誕生の球体》
フォト

ジョアン・ミロ《無題(「カイエ・ダール」9巻1−4号所収ステンシル)》によりタペストリー
フォト

インパクトのある不可思議なものを見た時つい「シュールだ!」と叫んでしまうことが多いが、人を惹きつけてやまないものであることは良く解った展覧会だった。

アルバムあります
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000121436421&owner_id=2083345

6月24日まで

24 12

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年05月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31