暗いまま差し出すことを許されてそれでも朝は拒まずにいる #短歌
誰もいない席がいちばんやさしい こんな沈黙ずっと続けば #短歌
崩れた花のにおいを引きずって靴底だけが現実にいる #短歌
すこしだけ距離を置くこと覚えた日 世界の音がまっすぐになる #短歌
ぎゅっとしたままでよかった気もする 星とかあとでつけた名前で #短歌
すれ違うみたいに過去になってゆくわたしの中のやわらかい影 #短歌
夜のはし余白をそっと縫い合わせ明日へわたしを仮どめにする #短歌
飛ぶこととつながることはちがうけど凧はすなおに風を選んだ #短歌
軽いから救われるとは限らない遠さだけ増え君は透けてく #短歌
そのままでいいと誰かが言うようにしわのまま置く春のやわらか #短歌
ひらかれた花の中心のまぶしさに触れないままの声が滲んだ #短歌
わからないままでいいよと春が言う口をひらけば風が入るね 短歌
ぬるすぎる現実みたいな湯の中でからだだけまだここに残る #短歌
早く着きすぎただけの夕方になにも起きないまま立っている #短歌
お言ってるそばから靴底に現実が貼りついてうまく歩けない #短歌
机上には消えなかった筆跡が静かなままで夜を支える #短歌
折りたたむたびに現実が薄くなり靴音だけがやけに響いた #短歌
ゆれながらほどけていくものばかり水はやさしく夜へとなじむ #短歌
まばたきの裏で隠れてる残像をほどかぬままで夜を渡った #短歌
やわらかい場所を名乗ってしまうたびからだの外に置かれるわたし #短歌
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