終わらせることもできたがそうせずに体つ温だけをここに置いてる #短歌
水をやる指の冷たさそのままでわたしはわたしを咲かせてみたい #短歌
結び目を直さないまま歩くのはまだ寒さから離れたくなくて #短歌
あたたかいままで隠れている花を光のほうが探しにくるよ #短歌
読まれないままの言葉が光ってて水の向こうでまだ待っている #短歌
花束の外れたひかり胸にあり さよならだけがまだ咲いている #短歌
午後という答えの出ない時間ごと 傘をたたんで神を読む人 #短歌
血のことは言わないままでよかったと笑ったあとで少し思った #短歌
帰らないことを選んだわけじゃなくドアの向こうが遠くなっただけ #短歌
振り向けば誰もいないと知りながら同じ速さで歩いてしまう #短歌
呼ばないでいることだけを選びつつそばにいるのを許してほしい #短歌
行き先を知らないままのひかりごと鞄の底で朝が揺れてる #短歌
出た目より出なかった目を持ったまま それぞれの夜 歩いていった #短歌
花束の業者のトラック遠ざかる 祝福だけが道に残され #短歌
ころん、とね、落ちた光を拾わずに眠りのふちで春を待ってる #短歌
横たわるかたちのままで増えていく答えを持たぬ夜を抱きつつ #短歌
しまわずにおいたひかりを持ったまま 夜の余白にそっと座ってる #短歌
ため息のかたちのままでいるほうが夜のやさしさよくわかるから #短歌
まだ白いままのおわりを待っていて迷わない指ひかりに触れる #短歌
まぶたまだ閉じたままでの国境を越えないように息をひそめる #短歌
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