1個目ですでに転んでいる話 最後まで聞く役を引いた日 #短歌
進まなくていいと知ったら急にある戻る道にも名前がついた #短歌
届かずに拍手がほどけ残るのは濡れない名前と乾いてる床 #短歌
去り際の言葉の重さを残したまま蝶番ひとつ夜にきしめく #短歌
火葬場の煙を見たと言うだけで本日はもう話し足りてた #短歌
やさしさで包み直したその言葉 返すころには羽音になった #短歌
名を落とし夜に預けたひとひらを歌は拾わずただ渡してゆく #短歌
夕立のあとをそのまま保管したみたいな沈默 息をひそめる #短歌
わかってる答えに遠回りさせるための夜 街灯がうなずく #短歌
人の話聞きたくなくてさ信号が青になるたび別人になる #短歌
息白くなるまで黙る路地の角 汗の記憶が暦をずらす #短歌
目覚ましの鳴らない朝に手を伸ばす 約束だけが眠りを着てる #短歌
幕引きの灯が細るほど名を伏せる群れから一人夜へ歩めり #短歌
踏み出せば言葉は靴を失くして白線だけが覚えていたよ #短歌
起こさずに過ぎる時間のやわらかさ 窓の光が答えを延ばす #短歌
まだだよね開けないほうがやさしい日 箱は話を途中でやめる #短歌
帰るって言葉が先に靴を履き しわの行き先 今日を選んだ #短歌
ポケットが多いと黙る時間増え話さない手がちゃんと忙しい #短歌
聞こえないことを覚えて歩く街 ひとりの声が何人分にも #短歌
欲しいでしょうって口にしたたぶん今が鳴る 不足はベルでちゃんと在るって #短歌
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