ほんとうに怒られた日の口笛がまだ胸のなかこっそり鳴った #短歌
消されてもなおかがやいて落ちてくるきみのかたちをそっと拾った #短歌
天国はなくてもいいというように朝のひかりがまぶたにしみる #短歌
禁止だといわれた話聞いていたあなたの声がすこし震える #短歌
ひんやりと価値のうつろうあの場では自分の順番待つだけでいい #短歌
余裕などそもそもなくて机上には整わぬままざらつく時間 #短歌
変わらない私をつつむ薄い膜 破れないまま日々が積もって #短歌
話題ならいつものことと眠りつつ七つ目過ぎの世界の端で #短歌
全員が外してしまう午後三時 こっそり揺れる敗者のリズム #短歌
ピンク色ゆらぐ気球の帰り道かすかな余熱きみのノートに #短歌
集まれば理由はなんでもよかったね 細いグラスが触れ合う温度 #短歌
主役ってどうせいつでも入れ替わるだから靴にも役名つける #短歌
ツバメには定点観測できぬこと人のうわさの消えゆく早さ #短歌
塩水がひたいをすべり笑いだす海をかくした夏の履歴書 #短歌
迷い子が天使に騙され歩きだすそれも時分の話のつづき #短歌
弾けだすジャムの機嫌に惑わされテーブルの上 自分もにじむ #短歌
かえっても住処は此処でうすい夢まとうようにきみをむかえる #短歌
のこされたくせのすきまにしずむ風 だれかのまねでうまれる明日 #短歌
だったらね何が残っていくのかな 指のあいだに光るこたえは #短歌
ひび割れた指先すらも歌になる ちいさな笛がまだ眠らない #短歌
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