霜の糸からまりながら野を縫って遠ざかるほど深くなる白 短歌
ぜんぶ書く 好きな色まで君の声 プロフィール帳の角だけやさしい #短歌
言葉なら栄養分にもなるだろう ひとの心に雨しみこませ #短歌
白い夜 雪の気配の違いまで看護師の耳 待ち遠しい寄り添って #短歌
世界地図 おねしょの跡を海としてひっそり朝をやりなおしてる #短歌
刺すような強さの笑みが触れたとき皮膚の下までこちらが揺れる #短歌
こう見えても言えない荷物抱えたまま夕焼けだけは正しく赤い #短歌
結構な庶民的だと指を立て街角の風ため息にまざる #短歌
未分化のいのちを編もうとしている毛糸玉ひとつ粉雪の帰路 #短歌
幽霊失格 なぜかあなたに触れたくて息をしているはずじゃないのに #短歌
読み込み成功 青いゲージの満ちてゆくきみの沈黙をなぞるみたいに #短歌
ほどいたら何にもなれず途方に暮れ指にからまる毛糸の体温 #短歌
考察をさせたがりゆくあなたには伏線めいた体温がある #短歌
パソコンって言葉がとっさに出てこなくてコンピューターって言っちゃった
各自治体ごとに揺れだす歩幅あり同じ夕暮れ違う追い炊き #短歌
ミュートして世界の音をぬぐい取るわたしの影は軽くゆらいで #短歌
着脱式こころの蓋をはめ直しひらいてはまた夜があふれる #短歌
毛糸玉転がる音のやさしさをあなたに見せる冬のうらがわ #短歌
事情ごと抱えてくれるひとといてうす灯りさえやさしく見える 短歌
霜柱きしむ音だけひからせて地底の国に冬を知らせる #短歌
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