遊びきりたのしすぎたとつぶやけば靴ひもほどけるやわい帰り道 #短歌
辻褄をそっと整える指先でそういうことにしておく夜道 #短歌
過去最高値と出ている朝 トーストの焦げ目が少しいつもとちがう #短歌
説明をぜんぶ並べて渡すのにひとつも触れぬきみの瞬き #短歌
母の手が布と続いて動くたび大相撲には静かな塵が舞う #短歌
まねすんなし心の中でつぶやいて同じ歩幅が妙にうれしい #短歌
陽キャすぎるまぶしさだけを受け止めて影になりたい自分を抱える #短歌
あげるのは私だしって言いながら包装紙にも少し息ためる #短歌
もういいよあんたきらいと書くみたい 声の端だけ紙を裂いてる #短歌
まだまだよ成仏なんてしないから冷えた湯呑みが今日も席取る #短歌
新しいビジネスプランを書くたびに余白のほうが先に息する #短歌
一言が多いと知りつつ落ちてくる角砂糖みたいなきょうの言い訳 #短歌
死亡日の欄に触れればうすい風 母のまつ毛の揺れまで戻る #短歌
ガチ感を出すじゃないよと笑い合う ペットボトルの減りで読む距離 #短歌
レンズにはあなたの指のかすれまで旅してきたと切手みたいに #短歌
クソポジに救われた日の靴の泥 まだ乾かないまま歩いてく #短歌
さびた弦押さえた左手のにおい 数日間は歌詞より残る #短歌
そのうちに自然に浮かぶ答えなど待ってる間の手持ちぶさたよ #短歌
痛む前照明の粒ほどけつつ視神経までざわり満ちてく #短歌
食券の番号だけが先に行き私はまだのまま列にいる #短歌
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